おむすびなろりんの丘タイトル

なろりん、真夏の果樹園を探検する!の巻

訪ねた日: 2023年7月31日
お天気: 晴れ

こんにちは なろりんです♪
気の向くままに全国にある農研機構の研究所を巡って紹介しています。
90回目のなろりんリポート、略して「なろリポ」です。

今回は、茨城県つくば市にある「果樹茶業研究部門」をリポートするよ。

遠くにうっすら見えるのは筑波山♪

今回訪ねたお部屋は、「果樹生産研究領域 果樹スマート生産グループ」。
こちらでは、果樹と気象の関係を研究しているよ。

この頃、猛暑や厳しい残暑が続いていて、「地球温暖化」という言葉をよく聞くけれど、作物にも大きな影響を与えているのだそう。

こちらのお部屋では、温暖化が進行しても、安定して果樹を育てられる技術を開発するために、果樹と気象との関係を調べているんだって。

北は北海道から南は沖縄まで、日本全国のいろんな種類の果樹に対応していて、実際に栽培しているのだそう。

さっそくほ場に案内してもらったよ!

こちらは、モモ。
こちらは、カキ。
パッションフルーツも見つけたよ!

次に案内してもらった温室では、熱帯果樹が元気に育っていたよ!

パインアップル!
マンゴー♪

外のほ場に戻ってきて、リンゴの木をみていたら...
あれ?一部が変色している実があるよ。

病気かなぁ...?
こっちのリンゴも茶色くなってる...。

実はこれ、「日焼け」なんだって!
人間の日焼けは太陽の光が影響するけど、果実の場合には光そのものの影響というより、夏の時期に果実が極端な高温になると日焼けするのだそう。
とくにリンゴやミカンの日焼けが問題になっているんだって。

他にも、暑すぎると果実の色づきが悪くなるのだそう。
最近、寝苦しい夜が続いているけど、リンゴやブドウなどは夜もあまり温度が下がらずにいると果実に色が着きにくくなってしまうんだって。

ちょっと色ムラがあるかな??

果物は味だけでなく、色や形などの見た目もとても大切なので、日焼けしたり色づきが悪かったりすると、どんなに美味しくても商品価値が下がってしまうのだそう。
今後ますます温暖化が進んだら、このような被害が増えてしまうのかな...。心配だな。

果樹は「永年作物」といって、植えたらその年に実がなるのではなく、苗木から何年もかけて育ててようやく実がなるよ。
土に植わっていて簡単に移動できないので、何年間もずっと気象の影響を受け続けるんだって。

なので、このまま温暖化が進んだ場合、たとえば10年後に果樹への影響はどうなっているのか、未来の気象を予測して今から対策を考えないといけないのだそう。

そこで「人工気象室」の出番だよ!
「人工気象室」は、部屋ごとに人工的に温度や湿度を変えることができる施設なのだそう。

こちらが人工気象実験棟!

ここにある果樹は「人工気象室」に簡単に運べるように、鉢植えで育てているんだって。

言われてみれば、全部鉢植え!

将来予測される温度に調整した部屋の中に果樹を入れて、どのように反応するか調査するよ。
実験を繰り返してデータをいろいろ取っていくと、気象の変化によって果樹がどんな育ち方をするか、だんだん予測できるようになるんだって。

気象の変化からその年の発芽や開花、収穫などの時期が前もって分かれば、栽培管理や出荷作業の計画を立てられるし、果実の日焼けや色づきの悪さがどのような気象条件で発生しやすいのか分かってくれば、このような被害を軽減できる栽培技術を作ることができる。そして、さらに温暖化が進んで、栽培技術だけでは対応しきれなくなったときに、高温により強い品種や樹種へ切り替えるタイミングも今から予想できる。
生産者さんたちが今後の栽培計画を検討する際にも活用してもらえるのだそう。

今日案内してくれたのは、実は、農研機構ではめずらしい「気象予報士」さん!
その知識を活かして、現在は、果実の日焼けなどの高温障害や、低温や霜で作物が被害を受けてしまう凍霜害(とうそうがい)に対する気象の主な原因を明らかにしたりこれらの被害を予測する技術の開発をしたりしているのだそう。

チームのみなさんはとっても仲良し♪

果樹と気象の研究はまだまだ未知なところが多いし、樹種によって共通点もあれば違う部分もあるので難しいけど、研究しがいがある、と話してくれたよ。

温暖化が進む中で、これまでどおり美味しい果物を食べられるのは、当たり前のことではないのだと知ったなろりんなのでした。
感謝していただきます♪

案内してくれた研究者さんと気象観測ほ場で。

ありがとうございました♪

次はどこの研究所へいこうかな。

「果樹茶業研究部門」の詳細は、ホームページを見てね。