みなさんからの質問
お米・イネについての疑問にお答えします。
全国で栽培されている品種は、だいたい80種くらいです。そのほかにも、ほそぼそと作られているものも合わせたら300種類くらいが育てられていると思われます。世界中では40,000くらいでしょうか。つくば市にあるジーンバンクというところでも世界中の作物の種を集めて保存されています。なお、上越研究拠点では、数千種類の系統を使って品種改良の研究を行っています。
たとえば、つぎのような2つの品種があるとします。
[品種A] たくさん米がとれるけど、おいしくない
[品種B] おいしいけど、少ししか米がとれない
この2つの品種のよいところだけを組み合わせた「たくさんとれておいしい」品種をつくりたいときは交配をします。
まず、[品種A]のめしべに[品種B]の花粉をかけて両方の子どもの種をとります。
さらに、その種をたくさんふやして植えることを何年か繰り返すと、両親の性質をさまざまに受け継いだたくさんの稲ができます(系統と呼びます)。そこで、この系統について、たくさんとれるかどうかのテスト(生産力検定試験)を行い、たくさんとれるものを選び出します。
つぎに、米を炊いておいしいものを選びます。また、さまざまな病気などに対する強さも調べます(特性検定といいます)。
そうして、すぐれた性質をもったものが選び出され、名前がつきます(地方系統名といいます)。北陸研究センターの地方系統名は、北陸○○○号(○○○には番号が入ります。)とつけています。ここまでで、6~7年かかります。
そのあと、数年かけて各県の農業試験場や食品会社などに評価してもらい、優秀な系統を新品種の候補にします。そして、名前を決めたり、農林水産省に品種としての審査をしてもらったりしてようやくひとつの新しい品種が生まれます。ですから、ひとつの新しい品種ができるまでには10年以上もかかります。
イネは、自分の花粉を同じ花のめしべにつけて実がなる植物で、花が開いている時間はすごく短くて午前中の2時間くらいですから、ほかの稲と交配させるのはとても大変です。
交配のやり方は、稲の花が開く前に43°Cのお湯に7分間つけると花粉だけが死んでしまいます。そこに別の品種の花が開いたばかりの穂をとってきて、めしべに別の品種の花粉を振りかけて受粉させます。そのあと、他の花粉が入らないように、小さい紙袋を穂にかぶせておきます。
もっとおいしい、病気に強い、いっぱい実がつく(米がとれる)など今の品種よりもっとすごい性質を持ったお米ができるかもしれません。また、健康に役立つとか、 お酒造りにあうとか、寒いところでも育つとか、それから、人それぞれ味の好みも違います。ですから、いろいろな目的に合うような特徴のあるお米を作っています。
見た目でいうと、もち米は白い色をしています。デンプンの中のアミロースという成分の割合が少ないとねばりがでて、その割合が、もちは0か0に近いのでオモチになります。
コシヒカリ(うるち米)のアミロースの量は16%くらいです。
種を直接まくより、苗に育ててから植えた方が、確実に育つからです。
ふつう、種をまいても生きのこって育つのは60~70%くらいですが、苗だと99%以上育ちます。苗の方が寒さや酸素不足、そして病気や虫に強いからです。
また、土の中には雑草の種もたくさんあり、しろかきをしたあといっせいに育ちはじめます。種からまくと、育つスタートラインがイネも雑草も同じですが、苗だとイネのスタートが先になるので競争に有利です。
直播(じかまき、ちょくは)といって種をまいて栽培する方法も研究しています。
多くの作物、たとえばトマトやキュウリなどの野菜を、イネと同じように根っこが水につかった状態で栽培するとすぐに枯れてしまいます。これは、根っこが酸素不足になって死んでしまうからです。植物の根も呼吸しているのです。
イネの祖先はもともと沼地など湿った水の多いところを好むものが多く、葉から酸素を根に送るなどの能力を持っています。だから、根が水につかっていても平気なのです。作物ではめずらしいほうですが、レンコン(はす)などもそうですね。もちろん、葉っぱまで全体が長い時間水につかってしまうとイネだって枯れてしまいます。
イネの害虫は種類が多くて、例えば、イネミズゾウムシ、イネドロオイムシ、メイチュウ、イナゴ、ツマグロヨコバイ、ウンカ、カメムシなど120種以上いるといわれています。
田植えのすぐあとに水田にあらわれるイネミズゾウムシの成虫や、イネの穂が出るころに被害をあたえる斑点米カメムシなど、どんな種類の害虫が、いつ、どの程度出るかを予測して、広がらないように注意してそれにあった農薬を使い害虫を防ぎます。使われる農薬は、虫の神経をまひさせたり、中毒をおこさせたりします。
大切なことは、害虫の種類によって使える農薬の種類が決まっているので、薬の量やまく時期などの約束を必ず守って使うことです。
イネの病気は、いもち病、紋枯れ病、白葉枯れ病、ごま葉枯れ病など現在約70種類があります。
病気になる原因は、カビ(糸状菌)、バクテリア(細菌)、ウイルスなどの微生物です。これらの微生物は、種の中に潜んでいたり土の中にいたり、虫が運んできたりしてイネに感染して病気にさせます。なかでも一番怖いのはカビが原因でおこる「いもち病」です。いもち病は、葉や穂がおかされるので、大発生すると米がまったく穫れなくなってしまいます。
人間も病気になると薬を飲むように、イネも病気になると薬が必要です。
イネに使う薬(農薬)は、病気の種類によって、病気を防いだり、治療したりするために使います。つまり、農薬によってイネ自体を病気にかかりにくくしたり、病気の原因となる微生物(カビ、バクテリア、ウイルスなど)やそれを運ぶ虫を殺したり弱らせてしまうということです。
農薬は、直接イネにふりかけたり田んぼの中にまいたりします。もちろん、決められた方法で正しく使うことが大事です。
それから、病気に強いイネを育てることも大切です。 あまり肥料をやりすぎると病気にかかりやすいイネに育ってしまいます。
イネを大きく育てるためには、いろいろな栄養が必要ですので、そのために肥料を使います。中でも、チッソ、リンサン、カリが特に必要で、それらをバランスよく、必要なときに適した量を正しく使うことです。多すぎても逆効果になりますので、あまり肥料をやり過ぎないことも大切です。
また、ワラや野草、ウシやブタなどの家畜のフンを積み重ねて腐らせてつくる堆肥があります。堆肥は、栄養分がゆっくりと分解していくので効果が長く続き、やり過ぎということもあまりありません。土の改良にも役立ちます。
暖かいこと、太陽の光、それから土・水が必要なのはあたり前ですね。肥料もやはり必要ですし、ときには農薬も必要です。
中でも、米作りにあった土が重要です。それは、元気な土ということです。元気な土とは、微生物などの生きものが豊富で、たくさんの栄養分をもっていて、適度な粘りがある土です。新潟県の土はこういった条件にあっているので米作りが盛んです。
田植えのときに3本くらいずつ苗を植えていきます。それがひとつの株に生長していき収穫のときには1500~2000粒くらいのもみ(こめ)ができます。1本の穂先には70~100粒くらいの実がなります。