わが国における動力耕耘機の沿革をみると,ロータリ式は1923(大正12)年ころから岡山県で作られ,クランク式は1936(昭和11)年に石川 県の広瀬与吉が手がけ,ついで東京ヤマサ式および大前式,山形県の秋山式が生まれた.スクリュ式は1938(昭和13)年に富山県の小谷式,石川県の古川 式が生まれた.
本機は東京のヤマサ式耕耘機ピース58型で,1959(昭和34)年の最後の製品.クランク軸に多数の耕耘刀を装着したもので,備中鍬で耕起するのと同じ操作で耕耘する.
一般に他型式に比較して,所要馬力がやや少なく,作業能率も高い.また耕深も深く,堆厩肥や雑草の耕耘刀へのからまりも少ない長所がある.ただ衝撃力が強い欠点があり,緩衝装置に工夫を要する.ヤマサ式もこのピース58型を最後として生産を中止した.
仕様その他は次のとおり.
型 式 | クランク型打込式 | |
クランクロッド | 6本 | |
耕耘刀 | 12本 | |
毎分クランク回転数 | 300~330 | |
軌道幅 | 70cm | |
長 さ | 190cm | |
機 幅 | 100cm | |
高 さ | 84cm | |
重 量 | 300kg | |
毎秒走行速度 | 高速 | 0.8m |
中速 | 0.3m | |
低速 | 0.2m | |
後退 | 0.24m | |
所要馬時力 | 3~5馬力 | |
耕 幅 | 90cm | |
耕 深 | 最大18cm |