農業機械研究部門

緊プロ開発機のご紹介

セルトレイ苗挿し木装置

(2002年発表)

下葉を取ってらくらく挿し木

  • セルトレイに挿して、良質な菊苗づくり
  • 能率は慣行手作業のほぼ2倍を実現

写真
PCCT1型

1.利用のメリット

菊穂を供給カートリッジに投入するだけで、下葉除去とセルトレイへの挿し木ができ、挿し木作業の能率向上と労働負担の軽減が可能。セルトレイで育苗することで良質な苗生産に貢献。

PCCT2型PCCT2型

2.開発機の概要

  • 作業者が菊穂を供給カートリッジに投入した後、下葉除去とセルトレイへの挿し木を自動的に行う装置。
  • 輪菊のほか、スプレー菊、小菊にも対応でき、汎用性が高い。
  • 作業能率は2200本/h・人程度で、慣行手作業の2倍程度。
  • 挿した穂の発根状態は、手挿ししたものと同等である

3.活用上の留意点

茎長が50~70mm程度で曲がりの少ない菊穂を使用し、適当な硬さの培土を用いること。

4.委託研究実施会社

井関農機株式会社

穂の投入作業穂の投入作業

セルトレイへの挿し木状態セルトレイへの挿し木状態

5.主要諸元・構造

(1)構 造:

きくの穂を投入する供給部、下葉を取り除く下葉除去部、穂の受け渡し及びセルトレイへの挿し木を行う搬送・挿し木部で構成される。周回するカップに穂を投入した後は、下葉除去とセルトレイへの挿し木を自動的に行うことができる(PCCT1型)。また、下葉処理機能のないものもある(PCCT2型)。

(2)主要諸元

形 式PCCT1PCCT2
大きさ 1130(L)×2320(W)×1225(H) mm 1190(L)×1460(W)×820(H) mm
質量 250kg 90kg
供給部 周回カップ 周回カップ
下葉除去部 回転ブラシ、開閉スリット、旋回ハンド -
搬送・挿し木部 挿し木ハンド(10連式) 挿し木ハンド(10連式、搬送機能なし)
所要動力 本体:400W コンプレッサ:1500W 150W
挿し木能率 無段階(0~3000本/h) 4段階(1500、3000、4000、5200本/h)
挿し木深さ 20~28mm 20~30mm
対象トレイ 200穴セルトレイ 200穴セルトレイ

6.作業性能
(1)品種の異なるきくを供試して挿し木を行った結果、欠株率はPCCT1型で0.8~4.5%、PCCT2型で0.5~3.1%であった。また、挿し木状態は良好であった。
(2)両機種とも1名、又は、2名による供給が可能で、供給に合わせてカップの周回速さの切換えができる。作業者1人当たりの作業能率は、PCCT1型で最大2400本/h・人程度、PCCT2型で最大3000本/h・人程度で、慣行手作業の約2倍であった。
(3)本機で挿し木した穂は、手挿しした穂と比べて生育や発根の遅れはなかった。
(試験場所:愛知県農業総合試験場豊橋農業技術センター、沖縄県農業試験場ほか)