農業機械研究部門

緊プロ開発機のご紹介

高精度てん菜播種機

(2010年発表)

高速・高精度播種作業が可能

  • 高速作業が可能で、能率は従来機の1.3倍
  • 播種床の防風壁で風害を軽減

写真
図 耐風害播種床形成機構を装着した開発機

1.利用のメリット

高速での作業が可能なため、労働時間が削減され、春作業競合の緩和が図られる。また、経営面積の拡大に対応できる。さらに、播種床の防風壁で風害を軽減できる。

2.開発機の概要

  • てん菜コーティング種子と肥料を同時に施肥播種する、トラクタ搭載型4条用てん菜播種機で、作業能率は80~95a/10hと、慣行より30~35%も向上。
  • 慣行の1.5倍程度の高速作業でも、てん菜を高精度に施肥播種して発芽率85%以上を確保。
  • 駆動種子鎮圧輪等、3個の鎮圧輪による確実な鎮圧で干ばつに強い。
  • 施肥部は車速連動のモータ駆動方式を採用し、高い施肥精度を実現。
  • オプションの耐風害播種床形成機で防風壁を形成するため、風害に強い。

3.活用上の留意点

  • 適用トラクタは、44~59kW(60~80PS)である。
  • 防風壁は畝方向に対して45~135°の風向の風に対する効果が高い。

4.共同研究実施会社

サークル機工株式会社

5.主要諸元・構造

作業速度1.5m/sの高速作業で、てん菜コーティング種子と肥料を同時に施肥播種する、トラクタ搭載型4条用てん菜播種機である。播種溝の作溝部を船底型とし、播種の横ずれを防止する張出側板が取り付けられている。また、駆動する種子鎮圧輪を設けるとともに、狭幅の覆土鎮圧輪を設けている。肥料繰出軸の駆動は、車速と連動するモータで行っている。オプションとして、播種床の両側に防風土手を形成する耐風害播種床形成装置がある。

表 主要諸元

6.作業性能

  • 開発機は1.5m/sの高速作業が可能であった。作業能率は80~95a/hと作業速度1.0m/s の慣行機より1.3倍も向上した。
  • 作業速度1.5m/sの出芽率は85%と、安定した出芽率を確保できた。
  • 施肥量の変動率が4%以下と均一施肥ができ、適正範囲に70%以上に施肥することができた。
  • 最大風速が19m/sのほ場において、耐風害播種床形成機構により形成した防風壁により、播種床の風速を約60%減少させることができ、慣行区と比較して苗の損傷を大幅に軽減低することができた。

(試験場所:北海道芽室町、池田町、本別町、十勝農試の3年間、のべ10ほ場)