1.利用のメリット
苗が計画どおりに消費されるため、効率的な苗運搬が可能となり、余分な苗を準備する必要もなくなる。
掻取り量を少なく設定し、植付ける苗枚数を減らせるのでコスト削減ができ、育苗作業の省力化が図れる。
少量苗植付けによるイネの健全な生育が期待できる。
2.開発装置の概要
- 苗載台を通って実際に使用された苗の量を検出して、常に設定された量だけ苗を植付けるように、苗送り機構を自動的に制御する技術である。
- 苗が多いときでも本数が多くならないようにする技術である。
- 苗が減っても欠株が出ないようにする技術である。
- 植付け本数を少なめにして2割程度の苗節減ができ、低コスト化に寄与できる。
- この技術を取入れた田植機の作業能率は普通の田植機と同程度である。
- 根張りの弱い苗やロックウール苗などでは効果が高く有効な技術である。
3.活用上の留意点
- 苗押さえ装置の押さえ具合等を適切にセットする必要がある。
- 細植えをする場合はばらつきのない苗マットを使う必要がある。
4.共同研究実施会社
井関農機株式会社、株式会社クボタ
5.主要諸元・構造
苗載台を通って実際に使用された苗の量を検出して、常に設定された量だけ苗を植付けるように、苗送り機構を自動的に制御する技術である。
苗使用量の検出は、苗載台の下方で、苗マット底部に接触させたローラにより行う。また、苗送り制御モータで苗送りベルトの駆動量が変更できるようになっている。田植機に組み込まれたコントローラは、検出した苗使用量を予め設定された値と比較し、その差に比例して苗送りベルトの作動量を増減させている。

6.性能
- 本技術を6条植えの乗用田植機に適用し、慣行比2割程度の苗節約をねらった試験によると、苗載台に残った苗の多少による植付け苗量(10a当りに換算した植付けレート)の変動が抑えられ、苗が多いときでも余計に消費することがなかった。
- 掻取り量をさらに減らした場合でも植付け苗量は安定し、苗の減少に伴って欠株が増加する傾向も抑えられた。
- 慣行比2割程度の苗節約によっても収量に差が見られなかった。
(試験場所:埼玉県鴻巣市(旧川里町))