農業機械研究部門

緊プロ開発機のご紹介

中山間地域対応型汎用コンバイン

(2011年発表)

稲、麦、大豆、ソバ、ナタネ等が収穫可能な小型の汎用コンバイン

  • 4条刈り自脱コンバイン程度の大きさで4tトラックに積載可能
  • サイドカバーの開閉や揺動選別部の取り出しが容易で、効率的な清掃が可能

写真
4tトラックに積載した小型汎用コンバイン

1.利用のメリット

小区画ほ場やほ場の分散等により、既存の汎用コンバインの導入が困難な地域においても利用可能。4tトラックに積載可能であり、水稲収穫作業において脱穀選別損失の発生を3%程度に抑え、作業速度1m/s程度で収穫することができる。また、サイドカバーの開閉や揺動選別部の取り出しが容易で、効率的な整備・清掃が可能な構造である。

2.開発機の概要

  • 本機は、全長4.8m、全幅2.15m、機体重量3.4tで、4tトラックに積載可能な小型の汎用コンバインである。また、保安基準に適合しており、公道を走行可能である。
  • スライド引抜き式揺動選別部および跳上げ式脱穀部サイドカバーを備え、機体内の整備・清掃等を容易に行うことができる。
  • 脱穀部の小型化・省エネルギ化を図るための送塵弁開度制御機構、大豆の汚粒を低減するためのフッ化樹脂コートを施した揺動選別部、大豆の頭部損失を低減するための狭ピッチ切断部を備えている。
  • 水稲収穫作業では、脱穀選別損失の発生を3%程度に抑え、脱粒性「中」では作業速度1.0m/s程度、脱粒性「難」では0.6~0.8m/s程度で収穫することができる。
  • 麦および大豆収穫作業では、最高作業速度1.4m/s程度で収穫することができ、脱穀選別損失は1%以下である。収穫物の品質も良好である。

3.活用上の留意点

作物および作物条件に合わせて、機械条件を適切に調整すること。

4.共同研究実施会社

三菱農機株式会社

5.主要諸元・構造

開発機は、4条刈り自脱コンバイン程度の大きさで4tトラックに積載可能であり、スライド引抜き式の揺動選別部を備える等、整備・清掃が容易な構造である。また、脱穀部はこぎ胴長1,700mmと小型ながら、従来の汎用コンバインと同等の脱穀性能を有している。送塵弁開度制御機構による脱穀部の負荷軽減、フッ化樹脂コートを施した揺動選別部による大豆の汚粒低減、狭ピッチ切断部による大豆の頭部損失低減等の効果がある。

主要諸元・構造図 小型汎用コンバインの概要

6.作業性能

  • 水稲収穫では、刈り高さ15cm程度で、脱穀選別損失を3%以下に抑え、脱粒性「中」では作業速度1.0m/s程度、脱粒性「難」では0.6~0.8m/sで収穫することができた。
  • 麦および大豆収穫では、作業速度1.4m/s程度で収穫することができ、脱穀選別損失は1%以下、穀粒口の品質も良好であった。
  • ソバおよびタネ収穫では、作業速度1.4m/sで収穫することができ、頭部損失および脱穀選別損失は大豆用コンバインと同程度であった。

(試験場所:岩手県遠野市、岩手県北上市、北海道長沼町、沖縄県石垣市、生研センター附属農場等)