1.利用のメリット
無人での薬液散布が可能。収穫コンテナなどの園内運搬は楽で能率的。
2.開発機の概要
- 斜面上下に架設した基幹モノレールに、園内にくまなく配置したいろは坂方式のレールを組合わせて、防除や運搬を行うモノレール。
- 薬液の補給や収穫物の積替えは、双方のレールの接点で行い高能率。
- 防除は、150Lタンクを載せた防除セットを使い、無人で園内を隅々まで作業が可能。
- 収穫物や資材の運搬は、200kgが積める荷物台車で、楽々作業。
- 肥料散布は、80Lのタンクを載せた施肥セットを使って無人作業。
- 防除の作業能率は28a/時程度で、果樹園の下からホースを引きながら行う慣行手散布の約20倍。

3.活用上の留意点
- 最大傾斜30度以下の果樹園に設置可能。
- 等高線方向のレールの設置間隔は10m以内。
4.委託研究実施会社
株式会社ニッカリ、株式会社共立
回行式軌条の配置
薬液散布装置(手前は斜面上下方向レール)
5.主要諸元・構造
- 構 造
1)軌条は等高線方向のS字軌条と上下方向の本線軌条で構成される。
2)S字軌条では、S字軌条けん引車が薬液散布車、運搬車等の作業機をけん引し て作業を行い、薬液の補給や収穫物等の載せ換えは、本線軌条との近接点で行う。
3)本線軌条では、本線けん引車、本線タンク車、本線運搬車が、S字軌条タン ク車への薬液補給や収穫物の本線軌条末端への運搬等を行う。
4)薬液の補給は、本線軌条に沿って設置した配管を介して、本線軌条端部のタンクから行うことも できる。
5)薬液散布作業及び噴頭の方向制御は無人で行うことができる。
- 主要諸元
軌条 |
本線軌条 |
50mm×50mmの角パイプ、下面にラック付き |
S字軌条 |
50mm×50mmの角パイプ、上下面にスリット加工 |
本線軌条の作業機 |
本線けん引車 |
全長:86cm、機関出力:4.4kW、ピニオンラック式駆動輪 |
本線タンク車 |
全長:207cm、タンク容量:500L、うず巻ポンプ搭載 |
本線運搬車 |
全長:208cm、積載量:200kg |
S字軌条の作業機 |
S字軌条けん引車 |
全長:89cm、機関出力:2.9kW、ウレタンローラ式駆動輪×4個 |
薬液散布車 |
全長:104cm、風量:200m3/min、機関出力:5.5kW、散布量:20L/min |
S字軌条タンク車 |
全長:140cm、タンク容量:150L |
S字軌条運搬車 |
全長:200cm、積載量:200kg |
肥料散布車 |
全長:114cm、タンク容量60L、機関出力2.1kW |
6.作業性能
- 薬液散布車による作業能率は散布量370L/10aのとき27a/hであり、薬液の付着は良好で、病虫害の発生はなかった。
- 収穫箱を等高線方向に約19m運搬するときの作業能率は64箱/h・人で、手運搬の2.5倍で、作業者の労働負担も軽減された。
- 肥料散布車により化成肥料を120kg/10a散布した時の作業能率は27a/hであった。
(試験場所:愛媛県果樹試験場)