農業機械研究部門

緊プロ開発機のご紹介

高機動型果樹用高所作業台車

(2010年発表)

4mの高所でも楽に作業可能

  • 小型で園内をくまなく移動でき、高さ4mの果樹に対応
  • 作業能率は従来機に比べ4割向上
  • 作業台水平制御により、高所で安全な作業が可能

写真
開発機による作業状況(わい化栽培リンゴ園)

1.利用のメリット

昇降する作業台の水平制御により高所でも安定した作業台上で、楽に作業ができる。また、小型で、狭い樹列間、樹冠内を効率的に移動でき、軽トラックでほ場間移動もできる。

2.開発機の概要

  • 車輪式2輪駆動2輪操舵の電動高所作業台車である。作業台高さは2mまで昇降でき、小型軽量で軽トラックに積載可能である。また、水平制御機能によって、作業台上での安定作業を実現するとともに、電動張り出し板の装備により、作業者が効率的に樹体に接近できる。
  • 高所作業時の心拍数増加率は、10%程度となり、脚立利用の心拍数増加率約25%と比べ、作業負担が少なく、楽に作業ができる。作業能率は、従来機(市販電動作業台車)と比べて約40%高くなり、脚立作業と同等である。
  • 作業台最高位置で張り出し板に作業者が乗った状態(65kg)でも側方の静的転倒角が23 ゚となり、安全鑑定基準の15 ゚以上である。作業台最高位置での走行速度は作業台高さ1.5m以上で安全鑑定基準の1km/h以下に自動的に制限される。

3.活用上の留意点

  • 樹高4m以下、樹間1.2m以上の果樹に適応できる。
  • 通路となる空間(幅1.2m、地上高1.7m)を確保する必要がある。

4.共同研究実施会社

株式会社サンワ

5.主要諸元・構造

小型で車輪式2輪駆動2輪操舵の電動高所作業台車であり、主な構造は次の通りである。1地上高約4mの作業ができる。2軽トラックに積載可能な寸法・重量である。3作業台の水平制御機能を有する。4旋回時小回りが利く。5張り出し板(張り出し長さ:50cm)を備える。

表 主要諸元

6.作業性能

  • 高所(対象果実位置約1.5m以上)で開発機を利用した摘葉作業時の心拍数増加率は、わい化リンゴ園(樹列間5m、樹間2m、樹幅3.9m、樹高4.4m、品種'ふじ')で10%、普通栽培(樹列間9m、樹間9m、樹幅8.3m、樹高4.0m、品種'ふじ')で12%であり、脚立の24%(わい化樹・普通)と比べ、12~14ポイント低減し、高樹高対応や安定性向上によって労働負担が軽減された。
  • 高所(対象果実位置約1.5m以上)での開発機利用の摘葉作業能率は、わい化リンゴ園(樹列間4m、樹間2m、樹幅1.9m、樹高3.5m、品種'ふじ')で、処理果数238 個/hとなり、脚立と比較して同等であったが、市販電動作業台車173個/hと比べて、機動性の向上等により38%の能率向上効果を得た。

(試験場所:青森県産業技術センター、福島県農業総合センター)