九州沖縄農業研究センター

所長室から 所長就任挨拶~農研機構の組織力で現場課題の解決、イノベーションの創出を目指して~

20201202所長写真(5・7).jpg11月1日付けで農研機構九州沖縄農業研究センターの所長に着任いたしました。就任にあたり、一言ご挨拶を申し上げます。

収穫の秋から鍋が恋しい季節になってきましたが、美味しいものを食べると人間は元気になります。子供が育っていくのも、働き盛りの大人が元気に仕事できるのも、高齢者が健康を維持していけるのも、食があってこそだと思います。そのような食べ物を生産する農業そして食品産業を支えるために、我々農研機構の職員が果たすべき役割は改めて大きいものと自覚いたします。

農研機構には、つくばにある司令塔である本部と、つくば地区を中心とした専門性の高い研究所・部門と、5地域(北海道、東北、中央、西日本、九州沖縄)をそれぞれ担当する地域農業研究センターがあります。地域農業研究センターが担う重要なミッションは、その地域の農業生産、食品産業が抱えている技術的問題、障害となっているボトルネックを解消することです。このために、新たな知見、技術を生み出すことを目指すと同時に、農研機構全体の成果を最大限に活用して地域に提供すること、そしてその技術が波及性をもって世の中を変えるようなイノベーションをもたらすこと、こういった取り組みにより、多くの消費者と生産者、関連企業の皆さんに喜んでもらうことを目指します。

新たな研究・技術開発のアプローチとして、我々は人員や予算、施設・機械などを、無制限に投入することはできませんので、現場が抱えている問題の大きさや県などの取り組み状況などから、優先順位をつけて組織的に取り組みます。チームとして、また外部との共同研究も含めて、戦略的に取り組むことで、スピードや質、波及性が大幅に高まることが期待されます。

九州沖縄地域の特徴を考えますと、暖かいところですので作物の栽培可能期間が長く、雨も豊富であることから農畜産物の生産額が全国の2割を占める食料基地であること、それを活かした食品加工業も盛んであるという特徴があります。また、アジアへのゲートウェイ(玄関)であるという立地から輸出のポテンシャルが高く、実際に和牛肉やサツマイモ、イチゴなどの輸出額は急増しています。

その一方で、全国同様、急速に進んでいる高齢化や担い手不足、この春からは新型コロナウイルスの影響、そして、九州では特に豪雨や異常高温などの気象災害や病虫害の頻発が生産者や関連企業の経営に大きな負荷を与えています。中でも、現在、発生が拡大しているサツマイモ基腐病対策は喫緊の課題であり、フロントラインである九州沖縄農業研究センターはもとより、農研機構全体でしっかり対応していく所存です。

昨年度から取り組まれている「九州沖縄経済圏スマートフードチェーンプロジェクト」では、理事長の強いリーダーシップの下で、九州沖縄の農産物の輸出拡大や地域経済の活性化を目標に、品種育成・生産・流通・加工・消費のプロセスで問題になっている課題の解決に向けて、農業界、産業界のご意見、ご要望をお聞きしながら、農研機構として組織的にかつスピード感を持って技術開発を進めているところです。
http://www.naro.affrc.go.jp/q_sfc/

さらに、昨年度に農水省が開始して農研機構が運営を行っている「スマート農業実証プロジェクト」は、スマート技術の導入効果を明確にして横展開を進める取り組みですが、九州沖縄地域でも多数の実証地が取り組みを進めています。当研究センターでも、このプロジェクトの取組を全力で推進いたします。
http://www.naro.affrc.go.jp/smart-nogyo/enter.html

これらの取組を通して、農業・食品分野の「Society5.0」(IoTによりフィジカル空間(現実空間)とサイバー空間(仮想空間)を連携し、すべての物や情報、人を一つにつなぐとともに、AI等の活用により量と質の全体最適をはかる社会)の早期実現に向けて、「頼りになる農研機構」、「ピリッと仕事、元気な職場」をモットーに研究成果の創出と社会実装に努めてまいります。

今後とも、一層のご指導、ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

令和2年11月
(国研)農研機構 九州沖縄農業研究センター
所長 森田 敏