沿革
九州沖縄農業研究センターの前身は、昭和25年4月にいくつかの試験場が統合してできた農林水産省(当時は農林省)九州農業試験場です。統合された試験場は、明治26年に設置された農商務省農事試験場の九州支場(福岡県羽犬塚町)を筆頭に、同種子島試験地(鹿児島県西之表町)、同指宿試験地(鹿児島県指宿町)、畜産試験場九州支場(熊本県西合志村)、園芸試験場九州支場(福岡県久留米市)、開拓研究所九州支所(鹿児島県霧島村)、同干拓支所(佐賀市)、二日市農事改良実験所筑後試験地(福岡県羽犬塚町)、福岡県農事試験場筑後分場(福岡県羽犬塚町)でした。その後、農林省農事改良実験所の一部組織や蚕糸試験場の統合、あるいは、九州農業試験場からの分離など、再編が続きました。
平成13年4月、中央省庁等改革の一環として、国の試験研究機関は独立行政法人に移行しましたが、その中で九州農業試験場は野菜・茶業試験場久留米支場との統合が図られ、農業技術研究機構の一機関として九州沖縄農業研究センターが発足しました。
農研機構は、平成27年4月から国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構となり、平成28年4月には国立研究開発法人農業生物資源研究所、国立研究開発法人農業環境技術研究所、独立行政法人種苗管理センターと統合再編されましたが、その際、九州沖縄農業研究センターに果樹研究所カンキツ研究部口之津拠点が組み入れられました。
背景・役割
九州沖縄地域は、概して気温が高く豊富な日照と降雨に恵まれているため、作物を栽培できる期間が長いなど農業生産に適しています。土壌条件としても、北部九州では平野部における肥沃な水田土壌、南九州では火山灰に由来する通気性や排水性、保水性に優れた黒ぼく土の畑地土壌に恵まれ、多様な農業が展開されており、我が国有数の食料基地として重要な位置を占めています。
例えば、南九州で盛んな畜産、中でも肉用牛の産出額は全国の41%(農林水産省、令和6年生産農業所得統計、以下同様)、いちごが33%、サツマイモが35%を占めています。南西諸島のサトウキビは沖縄と鹿児島の合計でシェア100%となります。また、北部九州を中心に生産されている水稲は、全国に占めるシェアは10%と高くはありませんが、生産額としては2400億円を超す地域経済の大きな柱になっています。
また、アジア諸国に近いという立地条件を活かして、和牛肉やイチゴ、サツマイモなど、農産物の輸出も急激に伸びています。サツマイモにおいては、2018年に国内で初めて確認された基腐病の被害拡大による減収が大きな問題となりましたが、関係機関と連携して開発した対策技術、および育成した耐病性品種の普及拡大により収量の回復につながりました。
このように九州沖縄の農業生産は高いパフォーマンスを発揮している一方で、気候変動による高温化、豪雨や干ばつなどの気象リスクによる収量、品質の不安定化、また、農業労働人口の減少による生産の省力化、効率化も喫緊の課題です。そして、持続的農業のためには、農業生産を高収益化することが必要です。
このため、九州沖縄農業研究センターでは農研機構第6期中期計画(2026~2032年の7年間)において、「暖地の農地高度利用を実現するスマート安定生産システム構築による収益拡大」に資する課題を担い、内容的には、スマート農業技術を活用した大規模水田輪作モデルの開発、サツマイモ等の複合病害虫抵抗性系統や省力化栽培技術開発、イチゴ等園芸作物の安定生産技術の開発、和牛肉生産の繁殖効率や飼料管理の省力化技術の開発に取り組みます。
研究推進にあたっては、農研機構内部の連携とともに、公設試験研究機関や民間企業、大学との共同研究、行政・普及機関や生産者とのネットワークの強化により、インパクトある成果を創出し、継ぎ目なく社会実装につなげてまいります。
職員数
225名 うち研究職員113名 (令和8年4月1日現在)
※本部管理本部所属含む
| 土 地 | 234.7 ha |
| うち合志研究拠点 | 120.8 ha |
| 筑後・久留米研究拠点(筑後) | 13.6 ha |
| 筑後・久留米研究拠点(久留米) | 10.6 ha |
| 都城研究拠点 | 54.4 ha |
| 種子島研究拠点 | 14.7 ha |
| 口之津カンキツ研究試験地 | 20.6 ha |