九州沖縄農業研究センター

新規野菜・花き栽培技術マニュアル

機械化のための新しいバレイショ間作栽培

夏植えサトウキビは、9月に新しく苗を植え付け、16~18ヶ月後に収穫する体系で、植え付け後数ヶ月は裸地ないしサトウキビの繁茂の少ない状態が続く。この間は比較的低温となるので、各種の野菜を間作できる。

鹿児島県奄美地域でのバレイショ間作栽培は、夏植えサトウキビの120cmの標準うね間で行われるもので、機械が入れないため収穫作業が重労働となる。そこで、新しい間作法では、夏植えサトウキビの畦間を広げることでバレイショの機械収穫による軽労化を図り、さらにバレイショ収穫後にサトウキビの春植えを行ってサトウキビ収量を確保する。

1. 栽培暦

栽培暦

2. サトウキビとバレイショの作付け様式

サトウキビとバレイショの作付け様式

赤土バレイショ収穫機による収穫
赤土バレイショ収穫機による収穫

3. 夏植えサトウキビの栽培

  • 植付け時期:9月中~下旬
  • 作式:畦間240cm×株間30cm(標準畦間120cmの2倍)
  • 施肥:窒素成分で10アール当たり11kgを緩効性肥料(270日溶出型)を用いて、全量元肥で施用。(植付け面積は標準栽培の1/2なので地域施肥基準の半量)
  • 管理作業:培土;10月下旬最終培土;2月中~下旬
  • 害虫防除:ハリガネムシ類防除のため、植付け時にダイシストン粒剤かアドバンテージ粒剤を散布。

4. 間作バレイショの栽培

  • 品種:デジマ。バレイショ収穫後に春植えサトウキビを定植するので、栽培期間の短いデジマが適する。
  • 植付け時期:11月上旬に植え付ける。あまり早い植付けは不萌芽のおそれがある。逆に、遅くなるとサトウキビの陰になり、生育が悪くなる。
  • 種芋量:10アール当たり260kg。
  • 作式:サトウキビの240cm畦間に株間20cmで2条植えとする。その際、条間は30~35cm幅にすると、既存の120cm畦幅1条植え栽培とほぼ同等の収量が得られる。ただし、条間をこれより広げると、赤土バレイショ収穫機による収穫が困難。
  • 施肥:肥料はバレイショ配合を用い、元肥として10アール当たり成分量で、窒素:14kg,リン酸:28kg,カリ:28kgを施用。追肥は施用しなくてよい。
  • 病害虫:特に天候が不順な年は、疫病が発生しやすいので、発病前の予防散布(ダコニール1000、フェスティバルM水和剤など)を栽培期間中に3回程度行う。発病後はリドミルMZ水和剤、クリーンヒッターなどを散布。
  • 収穫:植付け後90~100日を目安に収穫する。

5. 春植えサトウキビ(間作バレイショ収穫跡)の栽培

  • 植付け時期:2月中~3月上旬
  • 作式:240cm畦間の間に行うので、全体が120cm畦間となる。隣の夏植えが大きいので、春植の標準株間(25cm)よりやや密植にする。
  • 施肥:鹿児島県奄美地域では、10アール当たり窒素成分量で元肥として4.5kg,追肥として4.5kgを施用する。(植付け面積は標準栽培の1/2なので、地域施肥基準の半量となる)
  • 管理作業:追肥+最終培土は5月中に行う。

6. 作付け体系

作付け体系

バレイショ間作状態(左)
バレイショ間作状態(左)

バレイショ収穫後の春植えの初期生育(右)
バレイショ収穫後の春植えの初期生育(右)