九州沖縄農業研究センター

新規野菜・花き栽培技術マニュアル

土壌破砕耕による土の膨軟化技術

国頭マージ土壌の特徴の一つに、仮比重が高くてとても重たい土であること、水はけが悪いこと、ひとたび大雨が降るとぬかるむため、トラクタやハーベスタなどの農業機械をしばらく畑に入れられないことなど、物理的な性質の悪さがあげられる。
国頭マージの排水性を改善する目的で、振動式土壌破砕機による弾丸暗渠施工について紹介する。

1. 振動式土壌破砕機とは

トラクタの3点リンクに取り付ける振動式全層破砕機と呼ばれる作業機で、弾丸暗渠刃を2本装着できる。
トラクタのPTOの動力で作業機を振動させることにより、けん引抵抗を減らせることが特徴。
国頭マージ土壌では、70馬力以上のトラクタでの使用が望ましい。

弾丸暗渠刃を2本装着した土壌破砕機

弾丸暗渠刃を2本装着した土壌破砕機

2. バレイショ栽培における弾丸暗渠施工

装着する2本の弾丸暗渠刃の取り付け間隔はバレイショ畦間の2倍の約1.3m、施工深さは40~45cm、作業速度は約0.4m/sで施工できる。作業能率は枕地での旋回時間を除くと約2.7時間/ha(=3,000坪)である。
施工時期は10月のバレイショ用の畦立て作業の前が適する。

弾丸暗渠の施工作業風景

弾丸暗渠の施工作業風景

3. 弾丸暗渠施工の効果

1.物理性向上効果

バレイショ植え付け前の10月に土壌破砕を施工すれば、翌年2~3月のバレイショ収穫時まで、土壌硬度を低く保つことができる。
また、同一地点に2年続けて土壌破砕を施工すると、3年目まで土壌硬度は低く維持できる。

バレイショ実証圃場同一地点における土壌硬度の変遷

バレイショ実証圃場同一地点における土壌硬度の変遷
(バレイショ植え付け前の10月に土壌破砕施工、翌年2~3月に収穫)

2.バレイショの収量

弾丸暗渠を施工することにより、バレイショの収量の増加が期待できる。ただし、青枯れ病の抑制効果は期待できない。

弾丸暗渠施工とバレイショ収量

弾丸暗渠施工とバレイショ収量
(前作はギニアグラス「なつかぜ」)