小橋川さんは沖縄本島北部の宜野座村で、キクを中心にクルクマ、アレカヤシ、バラ等を栽培していましたが、平成12年度より国と県からの委託によりカーネーション栽培を開始しました。定植は台風の襲来を避けて10月に行い、3月から母の日までの出荷を目標としています。当地域は平均気温が高く開花がばらつく傾向があることから、できるだけ低温に遭遇させるため、1月中旬頃までビニール無被覆の露地状態で栽培しています。また、種苗費を押さえるため、定植苗数が少なくすむ起きあがり仕立て方を採用しています。
- 経営概況
花き切り花栽培(キク・クルクマ・アレカヤシ・カーネーション・トルコギキョウ等) - 平均気温
年平均気温:摂氏22.7度 7月の最高気温の平均:摂氏31.3度 1月の最低気温の平均:摂氏14.3度 - 年間降水量
2036.9mm - 土壌
国頭マージ(赤黄色土) - 品目
カーネーション春季出荷(3月~母の日) - 品種
アンソニー、エチュード、ロイ、コンチェルト、ソネットブラボー - 栽培面積
192m2(8×24m)、カネク式と呼ばれる間口8mの低コストパイプハウス - 苗の調達方法
全量購入 - 労力
本人、パート2人
1. 作型
2. 品種
すべてパテントつき品種苗を購入。高価な苗なので、多収品種であること。収穫期間が短いため、早生または中早生品種であること。ある程度の草丈が高温でも確保できる品種であること。耐病性があることに留意して品種を選定。
ミカンキイロアザミウマ侵入防止のため、購入した苗はすぐに薬剤防除し、2重の網室に1週間程度隔離し、検疫により害虫の付着のないことを確認してから定植。
3. 栽培
- 土つくり
土壌は沖縄本島北部に多く見られる「国頭マージ」と呼ばれる重粘土質の強酸性土壌で、炭カルでPH5.5~6.0程度に酸度矯正を行っている。 - 栽植様式と仕立て方
仕立ては起きあがり仕立て法で、約6000株/10aと栽植密度を従来の1/4~1/5程度まで押さえ、種苗費を軽減する工夫をしている。畦幅は80cm、株間20cm×条間30cmの2条植。光環境の改善と病害虫防除のため反射マルチを使用している。 - 定植
定植は、台風の襲来を避けて10月上旬頃に行う。 - 摘心
定植後1週間程度たって活着したら第1回目の摘心を行い、11月22~23日に最終摘心を行う。開花を揃えるために、最終摘心後は茎を倒してフラワーネットで伏せ込み、各節から同時に萌芽してくるようにする。 - 灌水・施肥
灌水は10cm間隔の点滴チューブを用い、やや乾燥気味に管理する。元肥として、ぼかし肥料(アクティぼかし)100kg、苦土石灰100kg、有機りん100kg、みどりマグ一号100kg、堆肥2250kg/10aを施用。定植後は住友2号液肥等を灌水代わりに適宜施用。 - 整枝
品種によっては目標とする収穫時期よりも早く発蕾してくるものがある。そのような枝は早めに蕾部分を折りとり、伏せ込んで次の萌芽を促す。発蕾から約30~35日程度で開花するので、2月下旬~5月上旬の高単価が見込める時期以外に開花することが予測される蕾は全て折りとる。 - 病害虫防除
3~5月の開花期にはスリップス、ハダニが発生しやすい。発生が予測される時期には薬剤の予防的散布を行う。また、土壌水分が多すぎるとフザリウム菌や細菌による萎凋性病害が発生しやすいので、定植前にはクロルピクリン剤等による土壌消毒を行い、活着後には乾燥気味に管理する。
4. 出荷と品質保持
鮮度保持のため、収穫後にクリザール処理を行っている。出荷は県内市場の他、村が運営する直売所や給油所等での直売。直売所では60cm程度に切りそろえ、10本500円程度の花束にして販売。
収穫期の状況