クルクマ・アリスマティフォリア(Curcuma. alismatifolia)はチェンマイなどのタイ北部に自生するショウガ科の球根植物であり、近年タイから球根が輸入され、夏季の切り花や鉢花として栽培されている。
1. 栽培歴
2. 生育特性
本県における自然栽培条件下では、2~3月に定植すると4~5月に発芽し、6月下旬から開花が始まる。開花は10月まで続くが、品質の良い切花は9月まで。10月からは葉が黄変し、12月には地上部は枯死休眠する。球根を堀上げず据え置きすると4~5月に発芽して同じような生育を繰り返す。
3. 球根の取り扱い
- 掘り上げ: 球根は地上部の茎葉が黄変する11月から12月にかけて堀上げ、翌春まで室内で貯蔵する。クルクマの球状の貯蔵根はそのまま付けておく。貯蔵根の多く着いた球根ほど発芽が早く、その後の生育、開花も早い。摂氏10度以下では球根が腐敗し越冬は困難であるが、本県では据え置きが可能。
- 貯蔵: 室内では4月以降貯蔵中に発芽し、球状の貯蔵根がしなびるので、4月以降に定植する作型ではビニル袋に詰め摂氏13~15度の低温で貯蔵する。冬春期採花用の種球は休眠の明けた長期貯蔵球を用いる。
4. 定植
- ほ場の準備と植え付け: 栽培暦に従って収穫時期を考慮し、植え付け時期を決める。保水力があり肥沃なほ場を選定し、元肥を施用した後耕耘し、床幅100cm、通路50cmの畦を切り、15cm×15cm×6目のフラワーネットを張って準備する。球根は2~3球連結した状況で植える。貯蔵根はできるだけ折らないように注意して植える。
- 元肥: 堆肥3t/10a以上、化成肥料(5-5-5)200kg/10a、油粕300kg/10aを施用する。
5. 定植後の管理
- 暖房: 生育適温は摂氏25度~30度。品質の良い切花を生産するために、最低気温が摂氏20度以下になる11月下旬から4月下旬頃まで加温する。
- 遮光: 光量は多いほど萌芽が多く切花本数は増加する。しかし、花梗が短くなり、品質が低下するので、梅雨明けから10月頃までは防風ネット2mm程度を用いて遮光する。
- 灌水: 好湿性の植物で土壌中の水分は充分あることが必要。多潅水管理とする。土壌の保水維持のため敷き草等による保湿に努める。しかし、空中湿度が高いと葉、花梗、苞葉に赤色斑点症が発生しやすいので注意が必要。
- 追肥: 栽培期間が長いので、多肥管理が望ましく、肥料切れを起こさないよう注意する。葉色、苞葉の状況を見て液肥2号(10-5-8)300倍希釈での追肥が良い。
- 病害虫防除: 排水の悪い圃場では球根腐敗の発生があるので、圃場の選定、高畦栽培等で改善する。害虫の発生は少ないが、乾燥時には葉ダニの発生があるので早期発見、早期防除に努める。オサダン水和剤1,000倍、ダニカット水和剤1,000倍等殺ダニ剤を散布する。
6. 開花調節
- 植時期: 定植後3~4ヶ月から開花が始まるので、出荷時期に合わせて定植する。
- 電照: 日長の短い9月から3月までは電照(50ルックス程度、午後10時から約3時間)を行う。秋に生長を停止して休眠する主な要因は短日(13時間前後)である。日長の短い9月上旬から電照しながら最低夜温摂氏20度の加温ハウス内で管理すると冬春期出荷が可能。
- 暖房: 最低気温が摂氏20度以下になる11月下旬から4月下旬頃まで加温すれば、収穫を続けられる。
7. 収穫・調整
- 収穫: 切り前は3分咲き程度とし葉を付けて収穫する。
- 調整: 収穫後は直ちにきれいな水で水切りを行い、切り口はぬれた脱脂綿等で包んで、鮮度保持を行う。箱詰めの場合、切り口部分を箱にテープで止めて固定する。
クルクマは5月から10月まで出荷され、早く出すほど高単価が期待できる。