病害
1. 発生する病害と特徴
- モザイク病と灰色かび病(図1)及び白絹病(図2)が重要病害である。
- モザイク病を含むウイルス病は殆どの株で感染しているが、管理が適切であれば品質収量に大きな影響はない。灰色かび病と白絹病は時に大きな被害を与える。
2. 防除対策の要点
- 無病親株を植え付ける。
- 過繁茂を避け、通風を良くする。
- 未熟有機物を施用しない。
害虫
1. 発生する害虫と特徴
- 沖縄県で栽培されているユーチャリスで重要な害虫はオモトアザミウマである。本種は、東海以南の西日本、台湾、韓国、ハワイなどに分布し、ヒガンバナ科、ユリ科、キク科の植物が寄主とされる。体長は、雌1.5-1.9mm、雄1.1-1.4mmで、体色は全体に黒色~暗褐色である。幼虫は桃白色を呈し、老熟幼虫の体長は1.8-2mmである(図3)。
- 本種は主に蕾、花に寄生する。被害は花、蕾、苞、茎、葉に見られる。花と蕾に寄生すると加害部が褐変し、奇形花となる場合もあるため、商品価値が著しく低下する(図4)。苞は開花前に黄変し、開花時までに枯死する(図5)。花茎と葉では灰白色の条斑を生じる。
- ハスモンヨトウ、アフリカマイマイ、ナメクジ類の被害も見られる。
2. 防除対策の要点
- オモトアザミウマは10月から5月までの間、いずれの時期においてもユーチャリスの花や開花直前の蕾で寄生が見られる。また、本種はユーチャリスの出蕾後まもない時期から蕾に飛来し、寄生・加害する。本種による花の被害は開花後に寄生された場合は軽いが、蕾の時期に寄生すると著しい。そのため、本種に対する薬剤の散布は出蕾開始時期から始め、開花直前まで1週間間隔で行う必要がある。
- 本種に有効な登録薬剤は、マラソン乳剤、プロオホス乳剤である。この他、ネオニコチノイド系の薬剤やエマメエクチン安息香酸塩剤等も殺虫力が強く、本種の防除に有効であるが、現在農薬登録がなく、登録促進が望まれる。
- ハスモンヨトウに対する登録農薬はないが、DEP乳剤やクロルピリホス乳剤等がアメリカシロヒトリ等の鱗翅目に登録があり、同時防除が可能である。
- アフリカマイマイやナメクジ類に対しては、メタアルデヒド含有剤を散布する。
図1ウイルス病と灰色かび病が発生したユーチャリス
灰色かび病の大型病斑とウイルスによる葉の凹凸・モザイク症状
図2 白絹病に犯された株
図3 オモトアザミウマの成虫(左)と幼虫(右)
図4 ユーチャリスの健全花(左)と被害花(右)
図5 ユーチャリスの蕾の被害