1. 発生する害虫と特徴
- 沖縄県で問題になる主な害虫は、ハダニ類、ワタアブラムシ、ハスモンヨトウ、アザミウマ類であり、九州以北と同じである。
- イチゴを加害するハダニ類はナミハダニとカンザワハダニの2種である(図1、2)。両種ともに周年発生するが、沖縄県では、冬期においても短期間で急増するので発生初期の徹底防除に努める必要がある。
- ワタアブラムシも周年発生する。多発すると花梗や果実への寄生し、商品価値を著しく低下させる(図3)。
- ハスモンヨトウは親株や育苗期の夏期に発生が多い。また、本種は10月~11月の本圃への定植直後に時として発生をみることがあるので注意が必要である。この他、オオタバコガやタイワンキドクガが定植直後のイチゴを加害した事例がある。
- アザミウマ類としてはミナミキイロアザミウマが主体である。ハスモンヨトウ同様に夏期の育苗期に発生する。本圃では、2月~3月にヒラズハナアザミウマが花、果実を加害する。
図1 ナミハダニ
図2 カンザワハダニ
図3 ワタアブラムシ
図4 ミカンキイロアザミウマ
2. 防除対策の要点
- ハダニ類は育苗期から防除を徹底し、定植苗から本圃へハダニを持ち込まないようにする。そのため、定植前に殺ダニ剤を必ず散布する。
- 本圃ではハダニの発生に注意し、発生初期の防除に努める。ハダニ類は葉裏に寄生することが多いので、葉裏まで十分散布することが肝要である。薬剤の散布は葉かきを行った後に行うと効果的である。また、ハダニ類は薬剤抵抗性がつきやすいので、同一薬剤の連用をさけ、殺虫作用の異なる薬剤をローテーションで使用する。主な殺ダニ剤は、ビフェナゼート水和剤、ミルベメクチン乳剤、エトキサゾールフロアブル等で、その他数剤がある。薬剤によって殺成虫力や殺卵力等の作用特性が異なるので、農業試験場や普及センターに問い合わせて、その特性をよく理解して使用する。
- ワタアブラムシに対しては、定植時にニテンピラム粒剤、アセタミプリド粒剤等を植穴処理する。その後は、発生に応じて薬剤散布を行う。チアクロプリド水和剤
- ハスモンヨトウに対しては、発生初期にクロルフェナピル水和剤、テフルベンズロン乳剤、BT剤等を散布する。
- ヒラズハナアザミウマ等のアザミウマ類はイチゴの花、果実に寄生するので、発生を認めたら早めに薬剤を散布する。
- ミカンキイロアザミウマは1999年に沖縄県の一部の地域に侵入したが、緊急防除対策により抑圧され、現在は発生が見られていない(図4)。しかし、本虫はイチゴの果実に大きな被害を与えるとともにキクの重要害虫でもあるので、寄生の恐れのある県外からの苗の購入は控える。購入した場合は着荷後直ちに薬剤散布して駆除し、2重の網室に入れて約1週間隔離栽培して徹底防除する。似た虫が認められた場合には県農試または普及所に連絡する