沖縄県今帰仁村の玉城さんに新技術による種なしスイカ生産の現地試験に協力していただきました。ハウス栽培で行い、平成13年から14年にかけて3月交配の早熟作型と12月交配の促成作型を比較しました。植え付けから収穫までのスイカ栽培法は慣行と同じですので、ここでは、ポイントである交配と作型ごとの果実品質に重点をおいてご紹介します。
1. 早熟栽培(平成13年)
ハウスの様子
- 品種
‘朝ひかり’(台木‘かちどき2号’、呼び接ぎ)を用いた。栽培は防虫ネットを張ったスイカハウス(間口6m、長さ30mの単棟)で行った。 - 栽植密度
畦幅300cm、株間50cm、3本仕立て1果どりとした。 - 定植・交配
1月15日に定植し、3月7日から軟X線照射花粉を交配した。
交配期に気温が摂氏15度未満となる時期があり、雌花があまり開花していない状態で交配を行った日は花粉の量が十分でなかっため、着果率がかなり低くなった。また、交配後に低温、寡日照が続き、玉のびもあまり良くなかった。 - 収穫
4月26日に収穫。種なしスイカは普通の種ありスイカよりも果実重が大きく、糖度もやや高くなった。
この作型ではスイカの種子は全てシイナになり、着色シイナの発生もほとんどみられない良質の果実が得られた。
2. 早熟栽培(平成14年)
生育初期の種なしスイカ
- 品種
‘まつりばやし777’(台木‘かちどき2号’、呼び接ぎ)を用いた。栽培は前年と同じスイカハウス(間口6m、長さ30mの単棟)で行った。 - 定植・交配
前年と同じ栽植密度で1月20日に定植、3月13日から軟X線照射花粉と照射を行った後摂氏5度乾燥条件で保存した花粉を使って交配した。交配時に果実の肥大促進のためホルモン剤(フルメット液剤10ppm)を子房に塗布した。
この作型においても天候が悪い場合や保存花粉を用いる場合には、ホルモン処理が有効であった。果実品質へのホルモン処理の影響は見られなかった。 - 収穫
4月24日に収穫。果実にはシイナがやや目立つ場合があった。シイナの大きさは品種による違いがあり、‘まつりばやし777’は‘富士光’、‘朝ひかり’、‘富士光TR’に比べてシイナがやや大きい品種と思われる。
3. 促成栽培(平成13年)
- 品種
‘まつりばやし777’を用い、早熟栽培と同様の管理で栽培した。 - 定植・交配
11月4日に定植し、12月4~8日に、軟X線照射花粉と照射を行った後摂氏5度乾燥条件で保存した花粉を交配した。
保存した花粉を用いても着果率への影響はほとんど認められなかった。 - 収穫
1月29日に収穫。保存花粉を用いた種なしスイカの一果重はやや小さくなったが、果実の糖度は12度以上で、照射直後の花粉を用いた種なしスイカとの差はなかった。
この作型では、花粉保存の有無に関わらず全ての種なしスイカでシイナが大きく目立つ傾向にあった。着色シイナは少なかったが、この作型は品種を含めて今後改善の余地があると思われた。