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対象家畜めん羊、山羊
特徴

非定型スクレイピーめん羊・山羊のスクレイピーは、プリオンが原因となる致死性神経変性疾患で、法定伝染病に指定されている。1998年にノルウェーにて、風変わりなスクレイピー「非定型スクレイピー」が確認された。この病気は、ヨーロッパ各国や北米、さらには従来型のスクレイピーの報告がないニュージーランドおよびオーストラリアでも確認されている。
非定型スクレイピーの臨床症状には不明な点が多いが、実験感染羊では、運動失調、行動異常(旋回行動や群れ行動に遅れるなど)が観察される。その起源は不明であるが、同じ群れ内で複数個体に発生することが少ないこと、老齢のめん山羊(平均6.5歳)に多いことから、老化に伴い自然発生する可能性が考えられている。非定型スクレイピーのプリオンは、従来型と性状が大きく異なっており、延髄よりも小脳に多く、プリオンの構成成分である異常型プリオン蛋白質は従来型に比べて蛋白質分解酵素により壊れやすいことから、従来型のスクレイピーと異なり水平伝播も起こりにくいと考えられている。
わが国では2016年と2017年に、それぞれめん羊と山羊において非定型スクレイピーの発生が報告され、以降散発的な発生が認められる。
対策
有効な予防・治療法はない。わが国では、18か月齢以上の死亡しためん羊・山羊を対象に、サーベイランスが実施されており、感染しためん羊・山羊の摘発と淘汰が行われている。
[写真:非定型スクレイピー感染めん羊の橋・三叉神経脊髄路の免疫組織化学。異常プリオンたんぱく質(茶色)が沈着している。]
動物衛生研究部門 : 岩丸祥史
参考情報
情報公開日 : 2016年4月28日
情報更新日 : 2024年11月18日