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伝染性胃腸炎 (TGE)豚流行性下痢との類症鑑別が大切!

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対象家畜豚、いのしし

特徴

伝染性胃腸炎 (TGE)

伝染性胃腸炎(TGE)は、TGEウイルスによって起こる嘔吐と激しい水様性下痢を特徴とする豚といのししの届出伝染病である。日本でのTGEの発生は冬季に多いとされているが、近年では春先や秋口の発生も報告されており、年間を通して警戒が必要である。近年は、国内を含めて欧米やアジアにおいても大きな流行は確認されず、散発的な発生のみである。同じ届出伝染病である豚流行性下痢(PED)とはウイルスが異なるが、症状や発生状況が類似しており、検査室での類症鑑別が不可欠である。

TGEウイルスは、感染豚の糞便中に大量に排泄され、それを直接あるいは付着物を介して口にすることで感染する。全ての日齢の豚がウイルスに感染するが、特に哺乳豚では症状が重篤となりやすく、水様性下痢による脱水を起こして、10日齢以下の豚は多くが死亡する。一方で、日齢が進んだ豚では死亡率は低くなる。

ウイルスは、ウイルス保有豚の導入や犬、猫等のウイルス保有宿主、ウイルスに汚染された機材や車両などによって伝播され、農場内や他の農場に広がる。

対策

飼養衛生管理を徹底することによりウイルスを農場へ持ち込まない、そして農場内で広げないことが重要である。農場内では特に、哺乳豚のいる繁殖分娩舎へのウイルス侵入を防止する。

妊娠豚に接種し、乳汁を介して哺乳豚の被害を抑えるワクチンが市販されている。ワクチンを使用する場合にも飼養衛生管理を徹底することが重要である。

[写真:伝染性胃腸炎に罹患した5日齢豚。嘔吐が認められる]

動物衛生研究部門 : 宮﨑綾子

参考情報


情報公開日 : 2015年8月12日