生物機能利用研究部門

遺伝子組換え作物の栽培実験

令和3年度 遺伝子組換えイネ(広範な病害抵抗性イネ)の 栽培管理及び交雑調査結果について

農研機構生物機能利用研究部門は、農研機構観音台第3事業場組換え植物隔離ほ場にて令和3年5月31日(月曜日)から遺伝子組換えイネ(広範な病害抵抗性イネ)の第一種使用等(※1)による栽培を行ってきました。

この度栽培を終了しましたので、種子等の拡散防止措置、花粉飛散による交雑調査の結果及び収穫以降の処理等についてお知らせします。

詳細は別紙をご覧ください。

なお、農林水産省「第1種使用規程承認組換え作物栽培実験指針」(※2)に基づき実施したモニタリング措置による交雑調査の結果、交雑粒は見つかりませんでした。

※1 : 第一種使用等:「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」に基づいた開放系(水田等)での使用

※2 : 農林水産省「第1種使用規程承認組換え作物栽培実験指針」
http://www.affrc.maff.go.jp/docs/anzenka/GMsaibai.htm#ssn

別紙1 広範な病害抵抗性イネの栽培管理及び交雑調査結果

1. 種子等の拡散防止措置

○防鳥網設置
令和3年3月23日(火曜日) ; 枠水田A
令和3年5月26日(水曜日) ; 畑圃場2
○防鳥網撤去
令和3年11月8日(月曜日) ; 枠水田A
令和3年8月3日(火曜日) ; 畑圃場2
(観音台第3事業場組換え植物隔離ほ場内枠水田A及び畑圃場2の位置は別紙2 図1参照)

2. 収穫以降の処理

  • (水田A)
    ○収穫(稲刈り)令和3年10月5日(火曜日)
  • 栽培したイネは、系統別に刈り取った後、隔離ほ場内の実験棟において乾燥させました。
  • 収穫物は密閉容器等に入れ、研究室に移動しました。法令に定める方法で保管し、今後調査に使用します。
  • ○残渣処理令和3年10月8日(金曜日)
  • 収穫(稲刈り)後、水田内に残った残渣(ワラ等)や株は、不活化処理のために隔離ほ場水田内に鋤き込みました。脱穀後に残った残渣等は、不活化処理のため焼却にて処分しました。
  • (畑圃場2)

    畑圃場で栽培した遺伝子組換えイネは、いもち病検定終了後、開花前の8月3日(火曜日)に鋤き込んで不活化処理をしたため、収穫物はありません。

3. 交雑調査

  • (水田A)
    ○調査方法
  • 交雑の確認は、キセニア現象(モチ品種にウルチ品種の花粉が受粉すると玄米が半透明になること)を利用して行いました。モニタリング用の指標作物として、栽培した遺伝子組換えイネと開花期が重複するモチ品種「モチミノリ」を用いました。
  • 組換え植物隔離ほ場を囲むように、観音台第3事業場敷地境界等にモニタリング用指標作物を植えたポットを設置しました。(モニタリング用指標作物の配置場所については別紙2 図2参照)
  • モニタリング用指標作物の配置期間令和3年7月30日(金曜日)~8月31日(火曜日)
  • ○調査結果
  • モニタリング用指標作物から収穫した種子13,640粒を調査した結果、キセニア現象を生じていたものは各事業場ともに0粒で、交雑は認められませんでした。
  • (畑圃場2)

    畑圃場で栽培した遺伝子組換えイネは、開花前に鋤き込んで不活化処理をしました。そのため花粉飛散はなく、交雑調査は行っていません。