農研機構生物機能利用研究部門は、令和3年6月1日(火曜日)から遺伝子組換えイネ(ノボキニン蓄積イネ及びスギ花粉ペプチド含有イネ)の第一種使用等(※1)による栽培を、農研機構観音台第1事業場高機能隔離圃場、観音台第2事業場隔離ほ場及び観音台第3事業場組換え植物隔離ほ場の3か所で行ってきました。
この度栽培を終了しましたので、種子等の拡散防止措置、花粉飛散による交雑調査の結果及び収穫以降の処理等についてお知らせします。今年度は、ノボキニン蓄積イネ及びスギ花粉ペプチド含有イネの栽培管理を同時に行ったことから、これらの栽培実験の栽培管理及び交雑調査結果をまとめて公表いたします。
詳細は別紙をご覧ください。
なお、農林水産省「第1種使用規程承認組換え作物栽培実験指針」(※2)に基づき実施したモニタリング措置による交雑調査の結果、交雑粒は見つからなかったことをお知らせします。
※1 : 第一種使用等:「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」に基づいた開放系(水田等)での使用
※2 : 農林水産省「第1種使用規程承認組換え作物栽培実験指針」
http://www.affrc.maff.go.jp/docs/anzenka/GMsaibai.htm#ssn
別紙1 ノボキニン蓄積イネ及びスギ花粉ペプチド含有イネの栽培管理及び交雑調査結果
1. 種子等の拡散防止措置
令和3年6月2日(水曜日) ; 観音台第2事業場隔離ほ場 隔離水田1-4(以下、観2隔離ほ場)
令和3年3月23日(火曜日) ; 観音台第3事業場組換え植物隔離ほ場 枠水田B(以下、観3隔離ほ場)
令和4年1月5日(水曜日) ; 観2隔離ほ場
令和3年11月8日(月曜日) ; 観3隔離ほ場
2. 収穫以降の処理
- ○収穫(稲刈り)
令和3年9月28日(火曜日) ; 観1隔離ほ場
令和3年10月6日(水曜日) ; 観2隔離ほ場
令和3年9月30日(木曜日) ; 観3隔離ほ場 - 栽培したイネは、稲刈り後に隔離ほ場内の作業棟内において乾燥後、脱穀を行いました。
- 収穫量(粗もみ重量)
<ノボキニン蓄積イネ>
11.3kg(観1隔離ほ場)
324.3kg(観2隔離ほ場)
8.9kg(観3隔離ほ場)<スギ花粉ペプチド含有イネ>
10.5kg(観1隔離ほ場)
332.7kg(観2隔離ほ場)
3.9kg(観3隔離ほ場) - 収穫物は密閉容器等に入れ、他の種子と区別して実験室や低温室に保管しています。
- 収穫物は、野外栽培における生育特性等の調査や種子の成分分析等の材料として使用します。
- ○残渣処理
令和3年11月1日(月曜日) ; 観1隔離ほ場
令和4年1月5・6日(水・木曜日) ; 観2隔離ほ場
令和3年10月8日(金曜日) ; 観3隔離ほ場 - 観1隔離ほ場及び観3隔離ほ場では、収穫(稲刈り)後、水田内に残った残渣(ワラ等)や株は、不活化処理のために隔離ほ場水田内に鋤き込みました。
- 観2隔離ほ場のみ越冬性試験を実施し、令和3年12月20日(月曜日)にひこばえの枯死を確認しました。その後、枯死したひこばえは地下部と共に、隔離ほ場水田内に鋤き込みました。
- 脱穀後に残った残渣等は、不活化処理のためオートクレーブや焼却にて処分あるいは隔離ほ場水田内で裁断して鋤き込みました。
3. 交雑調査
- ○調査方法
- 交雑の確認は、キセニア現象(モチ品種にウルチ品種の花粉が受粉すると玄米が半透明になること)を利用して行いました。モニタリング用の指標作物として、栽培した遺伝子組換えイネと開花期が重複するモチ品種「関東糯236号」を用いました。
- 観音台第1事業場では4か所、観音台第2事業場では6か所、観音台第3事業場では6か所、それぞれの隔離ほ場を囲むように各事業場敷地境界等にモニタリング用指標作物を植えたポットを設置しました。(各隔離ほ場におけるモニタリング用指標作物の配置場所については別紙2 図3、5及び7参照)
- モニタリング用指標作物の配置期間
令和3年7月29日(木曜日)~8月23日(月曜日) ; 観1隔離ほ場
令和3年7月29日(木曜日)~8月22日(日曜日) ; 観2隔離ほ場
令和3年7月30日(金曜日)~8月23日(月曜日) ; 観3隔離ほ場 - ○調査結果
- モニタリング用指標作物から収穫した種子について、観1隔離ほ場では12,226粒、観2隔離ほ場では12,929粒、観3隔離ほ場では12,988粒を調査しました。その結果、キセニア現象を生じていたものは各事業場ともに0粒で、交雑は認められませんでした。