国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)は、藤本・大わし地区の隔離飼育区画において、遺伝子組換えカイコ(高染色性絹糸生産カイコ、赤色蛍光タンパク質含有絹糸生産カイコ及び緑色蛍光タンパク質含有絹糸生産カイコ)の第一種使用等(※1)による飼育実験を令和6年4月から11月までの間に3回行いました。
この度、飼育実験が終了しましたので、遺伝子組換えカイコの飼育管理とモニタリング調査結果について、別紙の通りお知らせします。
なお、収穫した繭(蛹)は実験室等に運搬した後、熱乾燥による不活化後に繭の状態で保管しています。また、令和6年5月から12月までのモニタリング調査の結果、遺伝子組換えカイコとクワコとの交雑個体は見つからなかったことをお知らせします。
※1 : 第一種使用等:「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」(平成15年法律第97号) に基づいた開放系(本実験では隔離飼育区画)での使用
参考 : 飼育実験計画書及び遺伝子組換えカイコの飼育の様子を掲載するウェブページ
- 各遺伝子組換えカイコの飼育実験計画書(令和6年3月27日公表)
https://www.naro.go.jp/publicity_report/press/laboratory/nias/162363.html - 遺伝子組換えカイコの飼育の様子
https://www.naro.go.jp/laboratory/nias/gmo/news/gene_recombination/index.html
別紙 令和6年度 遺伝子組換えカイコの飼育管理とモニタリング調査結果(農研機構(藤本・大わし地区)での飼育分)
飼育管理
- ○ 飼育実験
1回目
- 飼育した遺伝子組換えカイコ:
高染色性絹糸生産カイコ(改変Fibroin H、Bombyx mori)
緑色蛍光タンパク質含有絹糸生産カイコ(HC-mAG、Bombyx mori) - 掃き立て※(飼育開始) : 令和6年4月26日
- 上蔟 : 令和6年5月22日
- 収繭 : 令和6年5月30日
2回目
- 飼育した遺伝子組換えカイコ:
高染色性絹糸生産カイコ(改変Fibroin H、Bombyx mori)
赤色蛍光タンパク質含有絹糸生産カイコ(HC-F90、Bombyx mori) - 掃き立て※(飼育開始) : 令和6年6月28日
- 上蔟 : 令和6年7月22・25日
- 収繭 : 令和6年7月30・31日
3回目
- 飼育した遺伝子組換えカイコ:
赤色蛍光タンパク質含有絹糸生産カイコ(HC-F90、Bombyx mori)
緑色蛍光タンパク質含有絹糸生産カイコ(HC-mAG、Bombyx mori) - 掃き立て※(飼育開始) : 令和6年9月6日
- 上蔟 : 令和6年9月30日~10月2日
- 収繭 : 令和6年10月8日
※ : 掃き立て:ふ化してすぐの幼虫(毛蚕(けご))を蚕座に移し、餌の桑の葉を与える
- 飼育した遺伝子組換えカイコ:
- ○ 交雑防止措置(各回共通)
- 遺伝子組換えカイコは、成虫が生じる前の繭の段階で収穫し、実験室等に運搬しました。
- 飼育室の開閉可能な窓及びシャッター並びに換気口に網を張って、クワコ成虫の侵入を防止しました。
- ○ 収穫後の処理・作業(各回共通)
- 収穫した繭(蛹)は、蓋を固定すること等により繭がこぼれ落ちない構造の容器に入れ、実験室等に運搬し、熱乾燥により不活化しました。
- 飼育終了後に残るクワの枝等の残渣は、上蔟作業後、同日に飼育室内で遺伝子組換えカイコを取り除き、隔離飼育区画内の残渣保管場所に運搬し、網をかけてカイコ成虫が生じても全て死亡するまで30日間以上(1回目:令和6年6月24日まで、2回目:8月26日まで、3回目:11月5日まで)保管しました。
その後、隔離飼育区画内の残渣管理用の穴に移動し、孵化した幼虫が全て死亡するまで保管する(~令和7年6月15日)ことにより、不活化をします。
モニタリング調査結果
- ○ モニタリング用トラップ配置期間 : 令和6年5月20日~12月20日
- ○ 隔離飼育区画の四隅の外側に、合成した性フェロモン(ボンビコール)を誘引源として粘着板で捕獲するフェロモントラップを設置し、クワコ雄成虫を捕獲しました。
- ○ 調査結果
- モニタリング用トラップ配置期間中にクワコ雄成虫236頭を捕獲しました。
- 捕獲したクワコ雄成虫について、すべての個体の外部形態を観察したところ、カイコとの交雑第一代であると考えられる個体は0頭で、遺伝子組換えカイコとクワコの交雑は認められませんでした。
- ○ なお、令和6年度に実施したモニタリング調査は、令和5年度の隔離飼育区画における第一種使用等による飼育実験のモニタリング調査も兼ねて実施しました。また、令和6年度の飼育実験に係るモニタリング調査は、令和7年6月中旬から12月中旬まで実施して終了することになります。