果樹茶業研究部門

果樹の災害対策集

14.落葉の著しい樹では秋芽が出ているが、この秋芽は越冬できるのか

カンキツの耐凍性は品種や生育の時期によって異なり、樹体の生理的活性の高い時期は耐凍性が低い。潮風害で落葉して秋芽が発生した樹では、栄養的に消耗状態にあるうえ、秋芽は耐寒性の獲得も不十分なため、凍害を受けやすい条件が揃っている。

通常年では、品種にもよるが春葉は-7~-8℃の低温が数時間続いた場合に褐変枯死するとされている。一般に春葉に比べて秋葉は耐凍性が低いので、今回(1991年)のような 秋枝の状態では、それよりも高い気温で寒害を受ける可能性が大きい。今回の台風で発生した中晩生カンキツ類の秋葉の耐凍性を12月~翌年1月に調査した結果では、-4℃付近で障害が出始めて、-5℃では明らかな障害の発生がみられた。また、同一品種では、葉色が淡くて充実していない葉ほど耐凍性が低かった。

これらのことから、被害樹が例年より寒害を受けやすいことは明らかであり、カンキツのQ4に示したような防寒対策を講じる必要がある。ただ、今回の事例(1991年)では、その後の気象条件が温暖に推移したため、発生した秋芽が低温で枯死落葉したという報告は、一部を除いてあまりみられなかった。

(2022年12月 再確認)