ウシは世界の食料システムに欠かせない家畜であり、飼養頭数は人口の増加にともなって15億頭にまで増加しています。一方、増頭により、ウシから排出される温室効果ガス量も問題視されるほどに増えています。ウシの乳牛肉生産を持続可能な産業にするためには、「ウシの生産性の向上」と「温室効果ガス排出量の低減」を両立する技術開発が不可欠であり、解決への期待が大きい国際課題です。
ウシは4つの胃を持ち、第一胃(ルーメン)に共生する微生物の力を借りることで飼料を分解・発酵して栄養を得ていますが、発酵副産物として作られるメタン(温室効果ガス)をげっぷとして放出する負の側面があります。当グループではルーメンの共生微生物群や発酵機能の改善を通して、家畜と環境の双方への負荷が少ない課題解決策の提示を目指しています。特に、低メタン産生牛をモデルとしたメタン産生の少ないルーメン発酵特性の解明と有用微生物の資材開発に注力しています。また、関連して飼料利用性の向上を見据えたルーメン内飼料分解メカニズムの解明、生産性向上のための高プロピオン酸型ルーメン発酵システムのモデル化、未培養嫌気性細菌の応用利用を可能にするための分離培養技術の高度化などにも取り組んでいます。