野菜花き研究部門

農研機構(NARO)植物工場 つくば実証拠点

所長挨拶

植物工場・施設園芸においては、特にデータ利用によるスマート化が求められています。植物工場・施設園芸の最も大きな特徴は、作物を栽培する際、季節や天候にすべて任せるのではなく、積極的に人間が関与して環境を調節し、作物を管理することです。このため他の農業に比べて大幅に土地生産性が高く、トマトの年間収量10a当たり100トン以上も不可能ではありません。農研機構植物工場つくば実証拠点では、これまでに植物生理に基づいた生育収量予測を開発し、果菜類の収量の大幅増加に成功しています。

一方、植物工場・施設園芸では、施設や設備を導入し、エネルギーを使って環境制御を行い、人手により綿密に作物を管理するため、多くのコスト(資金や労力)を要します。このため、栽培管理や環境制御、施設・設備導入、エネルギーコスト削減および作業省力化・平滑化等、様々な場面におけるデータ利用やICT化が重要な課題となっています。植物工場つくば実証拠点では、生育収量予測技術と、センシング、品質予測、コスト・エネルギー・CO2排出計算とを融合させることで、生産者の収益増加やエネルギー効率向上による環境負荷低減等に取り組んでいるところです。また、生産現場には様々な機器やサービスがあることから、データ利用技術を広く普及させるため、データ交換規格等の標準作りについても取り組んでいます。

本分野にご関心をお持ちの多くの皆様には、野菜花き研究部門や植物工場つくば実証拠点と連携して、植物工場・施設園芸の発展にご協力いただくことを心よりお願い申し上げます。

農研機構野菜花き研究部門
所長東出 忠桐