東北農業研究センター

お米のよくある質問集

有色米、香り米、有色イネの質問一覧へ

有色米の葉やモミガラの色は有色米と同じ色をしていますか?

米には普段食べられているような白いもののほかに黒米(紫黒米:しこくまい)や赤米といった有色米があります。

また、イネの葉が緑色だけでなく、全体が紫色(紫色が濃いと黒く見える)のものやまだらに紫色が着いたもの、穂(モミガラ)が紫色のものや赤いものなどがあります。

そして、米、穂、葉、茎等の色は必ずしも同じではなく、色が着く仕組みは複雑です。

例えば、赤米の「紅衣(べにごろも)」という品種は、米は赤いのですが、穂も葉も全て普通のイネと同じ緑色をしています。

黒米の品種「朝紫(あさむらさき)」の米は黒色ですが、穂や葉の一部が紫色に染まっていてまだら模様になっています。

紫色(黒色)

イネの色のうち紫色については、3つの遺伝子で決まると言われています。

1つめは「C」遺伝子で、色素の原料を合成します。

2つめは「A」遺伝子で、Cの合成した原料を元に紫色の本体である色素を合成します。

3つめは「P」遺伝子で、合成された色素をイネのどの部分に発色させるかを決めます。Aが色素を合成してもPがないとイネは緑のままです。

つまり、Cが作った材料をもとにAが紫色を作り、その色をPが塗るわけです。C、A、Pのどれが欠けてもイネは紫色になりません。また、Pが色を塗る場所は、葉、穂、米など様々で、全身紫だけでなく、葉と米だけ紫色といったふうに部分的に着色させることができます。さらに、C、A、Pそれぞれに何種類もの仲間があります。Cの種類が変わると色調が、Aが変わると濃さが、Pが変わると着色部位が変化します。

これらの組合せでイネの紫色の着色パターンは多様なものになります。最近よく目にする紫黒米の品種では、米(米の表面でヌカの部分)と、モミガラの先端、葉の一部等が紫色で、モミガラは普通のイネと同じ色をしたものが多いようです。

注)「A」や「P」が無くても「C」だけで色が着く部位もあります(モミガラの先端など)。

注)「I」(アイ)という遺伝子もあり、これによってC、A、Pがそろっていても部分的に着色が取り消されることがあります。

赤色

イネの色のうち赤色については一般に2つの遺伝子で決まると言われています。

1つめは「Rc」遺伝子で、赤色の色素を合成します。

2つめは「Rd」遺伝子で、Rcが合成した色素を米の表面に均一に拡げ米を赤く着色します。

Rc、Rdの2つの遺伝子がそろってはじめて米の表面は赤くなります。また、この2つの遺伝子は、前のC、A、Pとは異なり、米の表面の色にだけ関係しています。米が赤色でも穂や葉は普通の緑のイネの場合があります。穂が赤い赤米の品種もありますが、その場合、穂の色はC、A、Pの遺伝子によって色が着いているのであって、普通は米の赤色とは関係がありません。

注)紫の遺伝子C、A、Pの組合せによっても赤米になることがあります。

以上は、「稲学大成第3巻:遺伝編.松尾孝嶺[ほか]編.農山漁村文化協会.1990」を参考にしています。