東北農業研究センター

お米のよくある質問集

米作りの質問一覧へ

水田の手入れと管理について教えてください。

「お米をつくる場」としての水田の手入れと管理方法についてお答えします。現在では米作りもいろいろな方法がとられていますが、一般的な方法についてお答えします。

1. 田植えまでの田んぼの準備

田植えの準備として、まずトラクター等を使って土を耕します(「耕起(こうき)」といいます)。

これには田んぼの土を軟らかくし、雑草の発生をおさえる効果があります。あぜ(田んぼの周囲の土手)には土をぬりつけ、あぜからの水もれを防ぐようにします。

そして、田んぼに水を入れて、トラクター等を使って土と水をよく混ぜます(「しろかき」といいます)。これには田んぼの底からの水もれを防ぐ、肥料を均一に混ぜる、雑草の発生をおさえる、田植え作業をしやくするなどの効果があります。

これで田植えができる状態になります。

2. 肥料

イネが丈夫に育ち、おこめがたくさんとれるように肥料を与えます。しかし、あまり多くやりすぎると病気に弱くなったり、ご飯の味が悪くなったりするので、必要な量をちょうど良い時期に与えなければなりません。

肥料の種類は多く、与える時期や量にも様々な方法があります。一般には、しろかきあるいは田植えの時と、イネの穂が形づくられる時期に与えます。このような時期に与える肥料をそれぞれ「基肥(きひ、あるいは、もとごえ)」、「穂肥(ほごえ)」と呼びます。

3. 水の管理

イネの生育に応じて、田んぼにためる水の量を変えます。

  • 田植えしたあと、最初は比較的浅く(2~4cm)水をためると、イネの茎の枝分かれ(「分げつ(ぶんげつ)」といいます)が盛んになり、イネの穂を多くする効果があります。
  • その後約1ヶ月程度たった段階で、水を落として田んぼをしばらく乾かします(「中干し(なかぼし)」といいます)。田んぼを乾かすことで土の中に空気中の酸素が入りやすくなり、根が呼吸しやすくなって丈夫になる等の効果があります。
  • イネの穂が形づくられる時期には、2~3日おきに水をためる状態と水を落とした状態を交互におこないます(「間断かんがい(かんだんかんがい)」といいます)。これは根を丈夫にすること(このためには水が少ない方がよい)と穂を丈夫に形づくること(このためには水が必要)を同時にイネに行わせるために適した方法です。
  • 穂が葉の中から外に現れ(「出穂(しゅっすい)」といいます)、イネの花を咲かせる時期には水を最も必要とするので、田んぼに多くの水(6~10cm)をためます。花を咲かせたあと、実(おこめ)ができはじめたら水の量を少なくし、収穫する前には水を完全に落として、収穫作業がしやすいようにします。

また、天気に応じても田んぼにためる水の量を変える必要があります。特に、出穂の10~15日前はイネの花粉が作られる上で大切な時期で、このとき低温(平均気温18℃以下)になると、開花し受精するときの花粉の働きが悪くなり、実がつかなくなります。

→(「障害型冷害(しょうがいがたれいがい)」といいます。

平成5年はこの冷害によりおこめがあまりとれませんでした。)そのため、この時期に低温となる場合には田んぼに水をいっぱいためて、水の保温効果でイネを低温から守るようにします。

4. 病虫害の防除

イネには生育段階ごとに様々な病気や虫の害が発生し、とれるおこめの量や品質が悪くなる可能性があります。

それぞれの病虫害の発生を防いだり、害の程度を軽くするための標準的な方法が各都道府県で決められていて、それを参考にして、薬をまく等の防除を行います。

例えば、「いもち病」はイネにとって最もこわい病気で、この病気にかかると、ひどい場合にはイネが枯れてしまいます。いもち病の発生しやすい地域では、この病気を防ぐために2~3回程度、農薬を計画的に散布する必要があります。

5. 雑草の防除

田んぼやあぜの雑草が多くなると、イネの生育が悪くなったり、病虫害をもたらす病原菌や害虫のすみかとなったりするので、雑草を少なくする必要があります。

田んぼの雑草を少なくするための標準的な方法が各都道府県で決められていて、それを参考にして、薬をまく等の防除を行います。現在では、田植えしたあとでの1回の除草剤散布で、大部分の雑草の発生は抑えられるようです。

また、あぜは草刈り機等による除草を行って、害虫のすみかにならないようにします。