東北農業研究センター

お米のよくある質問集

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どうしてさまざまな種類の品種を作る必要があるのですか?

2025年現在、国内で銘柄指定されている品種は、ウルチ米319品種、モチ米76品種、醸造用米130品種、このほかに畑で育てるイネ(陸稲)品種なども栽培されています。

こうした数多くの品種が栽培される理由は、日本の地形が南北に長く、盆地や平地、山など、とても変化に富んでいて、それぞれ気候も違うため、イネの育つ環境も違ってくることにあります。たとえば北海道や東北地方では、イネが育つ暖かい期間が短いため、田植え後、暖かくなったら早く穂がでてお米が実るような品種が主に必要になります。しかし、このような品種を九州地方や西日本などの暖かい地域で育てると、すぐに穂が出てしまいお米があまり収穫できません。そのため、暖かい地域では、夏至(げし)がすぎて太陽が出ている時間が短くなってくると穂が出る品種が必要です。

また、東北地方の太平洋側は、夏に「やませ」という湿った冷たい風が海から吹き、気温が上がらずお米が実らなくなる「冷害」が生じやすい地域です。そのため栽培する品種には冷害に強いことが欠かせません。さらに、山すそにある地域や東北地方などの比較的涼しい地域では、「いもち病」という病気が発生しやすいため、いもち病に強い品種が望まれます。一方、九州地方などではウンカという害虫が発生するので、それに強いことが必要です。

イネは植物ですから、品種によって特徴がそれぞれ違います。冷害に強く、いもち病に強く、害虫にも強く、そして、おいしくてたくさん収穫できる品種ができれば良いのですが、一つの品種で様々な条件を兼ね備えることは簡単ではありません。

そのため、それぞれの気候条件や環境条件のもとでイネが丈夫に育ち、おいしいお米をたくさん実らせることができるように、たくさんの品種が栽培されているのです。