東北農業研究センター

お米のよくある質問集

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どうしてたくさんの種類のお米を作る必要があるのですか?

現在、都道府県が農家にすすめて栽培されている品種は300種類あります。300種類のうち、ウルチ米の品種が220種類、モチ米の品種が60種類、そのほかに畑で育てるイネ(陸稲)があります。

なぜ300種類も栽培されているかというと、日本は、南北に長くて、盆地や平地、山などとても変化に富んでいて、それぞれ気候がちがい、イネの育つ環境がちがうからです。たとえば、北海道や東北地方では、イネが育つ暖かい期間が短く、そのために田植えをしてから暖かくなるとすぐに穂がでてお米が実るような品種が主に必要になります。

しかし、このような品種を九州や西日本の地域で育てると、暖かいのですぐに穂が出てしまい、あまりお米が収穫できません。そのため、このような地域では、夏至(げし)がすぎて太陽が出ている時間が短くなってくると穂がでる品種が必要です。また、東北地方の太平洋側は、夏に「やませ」といって海から湿った冷たい風が吹きやすく、お米が実らなくなる冷害が起こりやすい地域です。そのため冷害に強い品種が必要になります。

その他に、山すそにある地域や東北地方など、わりと涼しい地域は、「いもち病」という病気が発生しやすいところです。このような地域では、いもち病に強い品種が必要になります。さらに、九州などでは、ウンカという害虫が発生するので、それに強い品種が必要になります。

イネは植物ですから、品種によって特徴がそれぞれ違います。冷害に強く、いもち病に強く、害虫にも強く、そして、おいしくてたくさん収穫できる品種ができれば良いのですが、とても難しいです。

そのため、それぞれの気候条件や環境条件のもとでも、イネが丈夫に育ち、おいしいお米をたくさん実らせることができるように、たくさんの品種が栽培されているのです。