米粉は吸水させたお米を砕いて粉にしたもので、うるち米で作る「上新粉」、もち米で作る「もち粉」「白玉粉」などがあります。小麦粉は小麦の外皮を砕いてふるいにかけ粉にしたもので、グルテニンとグリアジンというタンパク質の一種を含んでいます。これらのタンパク質は水分を加えてこねると、食品に弾力を与えるグルテンとなり、パン生地をふくらませたり麺にコシを与えるはたらきをします。
米粉と小麦粉の最も大きな違いは、このグルテンが小麦粉では形成されるのに対し、米粉はグルテンのもととなるタンパク質を含まないので、グルテンが形成されないことです。そのため、例えば小麦粉で作ったパンはふんわりと仕上がるのに対し、米粉で作ったパンはもっちりした仕上がりになります。
これまで米粉は、おもちやだんご、せんべいなどの和菓子の原料に使われることが多かったのですが、グルテンが食物アレルギーの原因にもなるため、アレルギーのある人でも安心して食べられるよう小麦粉の代替品としての使用も進んできました。
米粉の用途がパンや麺などにも広がっていくにつれ、米粉の製粉技術の発達とあわせ、近年は、それぞれの用途に適した米粉用のイネ品種も開発されています。米粉パン用としては「笑みたわわ」「こなだもん」など、パンがよくふくらむよう粒の細かな米粉に製粉できる品種、米粉めん用としては「亜細亜のかおり」「あみちゃんまい」など、ゆでたときに溶けにくく麺離れがよい(麺同士が表面の粘り気でくっつきにくい)米粉麺ができる品種が開発されています。