東北農業研究センター

お米のよくある質問集

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お米の肥料にはどういうものがあるのですか? またどうやって作っているのですか?

一言で肥料と言っても、実にたくさんの種類があります。ここでは、その中でも広く使用されているものについてお答えします。

どんな植物も大きく育つためには、いろいろな栄養が必要です。栄養のなかでも、チッソ、リン酸、カリウムの三つは、特にたくさん必要となりますので、土の中にある量だけでは不足します。ですから、田んぼに入れる肥料の多くは、これら三つの栄養を含んだものが中心になります。

チッソだけを含んだものとしては、硫安、塩安、尿素や硝安などがあります。どれも石油化学工業でできるアンモニアから作られていて、白っぽい色をしています。ただし、硝安は、田植え前に入れると化学変化を起こしてガスになり、空気中に逃げてしまいやすいので、イネが大きくなってからチッソを追加するときに使用します。

リン酸だけを含んだものは、過リン酸石灰やヨウリンなどがあります。過リン酸石灰は灰色、ヨウリンは緑色のものが多いです。カリウムだけを含むものは、塩化カリや硫酸カリなどで、塩化カリウムの多くはピンク色です。リン酸もカリウムも鉱石から取り出して使っていますが、現在は、どちらも全て外国から輸入されています。

実際には、これら三つの栄養をバランス良く含む化成肥料(カセイヒリョウ)が広く使われています。

以上の肥料は砂糖のように水にすぐ溶ける肥料ですが、ゆっくりと溶けるように工夫した化学肥料もあります。例えば、水に溶けやすい肥料の表面をプラスチックなどの皮でおおって、ゆっくり溶けるようにした「ひふく肥料」は、肥料の効果が長持ちしますので、イネの生育途中に肥料を追加する必要がありません。

そのほかに、動植物質の材料から作られる有機質肥料もあります。ダイズやナタネから油をしぼった残りのカス(油カス)や魚カスなどです。有機質肥料は、土の中でゆっくりと分解されますので、効果が長持ちします。最近は、水にすぐ溶ける化成肥料にひふく肥料や有機質肥料を混ぜたものが広く使われています。

イネは、他の植物と違って、とてもたくさんのケイ酸という栄養を吸います。このケイ酸は、イネの体の表面にたまります。イネの葉っぱがゴワゴワしているのはこのためです。ケイ酸が少ないと病気にかかりやすくなったり、秋に下の葉っぱが枯れやすくなります。

ですから、田んぼに、ケイ酸を含んだ肥料を入れることもあります。ケイ酸を含んだ肥料にも、いくつかの種類がありますが、どれも、ある特別な石の中に含まれているケイ酸を水に溶けるような形に変えて作られています。

また、かんがい水に溶かして田んぼに入れるような特別な使い方をする肥料や、収穫した後に土の表面に散らばったワラの分解を早めるために使う石灰チッソという肥料もあります。

このように、たくさんの肥料がありますが、土の性質や使い方に合わせて使われています。