近年、地球規模の環境変動により世界中で干ばつや土壌荒廃が起こっています。このような不安定な環境下で持続的な食料生産を行うために、環境ストレスに頑健な作物(環境レジリエント作物)の開発が求められています。
不良土壌環境で作物生産を向上させるには根の改良が不可欠です。なぜなら、植物にとって根は土壌中から養水分を吸収するできる唯一の器官であり、土壌環境の影響を一番最初に受けるからです。しかし、根は土中にあり計測が困難なため、どのような形に改良すればいいのか、分かっていません。

根は様々な土壌環境ストレスにさらされている
本研究では、地下に隠れた根を見える化することで、環境ストレスに強い根の形を明らかにし、作物のトータルデザイン育種を可能とする新しい技術の創造をめざしています。
はじめに、X線CT装置を用いた根系の連続非破壊計測プラットホームの開発を行います。つぎに、本プラットホームを利用し、表現型および遺伝子発現解析から得られたオミクスデータから作物根系モデルを設計します。モデル設計の前に、ストレスの影響をモニターできる遺伝子群を同定し、これらをストレスバイオマーカーとします。本マーカーを指標にストレスの影響の小さい頑健な個体を判別し、頑健な個体群が共通に持つ根系パラメータから作物根系モデルを設計した後、得られたモデルが有効であるかをフィールドで検証します。
【1. 根系の連続非破壊計測プラットホーム開発のイメージ】

【2. ROOTomicsを利用した根系モデリングとその実証の流れ】
