開催日時
2021年10月4日 (月曜日) 16時00分~20時00分(日本時間)
開催方法
オンライン開催
参加者数
国内参加者54名、 (行政・普及機関 2名、大学等教育機関 16名、公益法人等3名、試験研究機関 29名 (うち公設試 2名) 、その他 4名)、海外参加者42名
開催概要
2011年の東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所事故から10年、1986年のチェルノブイリ原子力発電所事故から35年の2021年、農研機構と原子力の平和利用研究を推進しているFAO/IAEAは、放射性物質からの農業復興に関する国際シンポジウムを共同開催しました。
農研機構東北農業研究センター 羽鹿牧太 所長、FAO/IAEA Qu Liang部長による開会挨拶に続いて、セッション1「福島及びチェルノブイリにおける原発事故後の農業復興対策」では、福島及びチェルノブイリの原発事故に関する放射線対策研究の成果として、「福島第一原子力発電所事故後10年を経た農業活動の状況と課題」、「チェルノブイリ原発事故により放射性物質で汚染されたベラルーシの農地施肥対策」「チェルノブイリ原発事故後の作物、飼料生産、畜産に適用した対策の効果」「土壌溶液中のセシウム-133に及ぼすカリウムおよびアンモニウム施用の影響」、「農業用水環境における放射性セシウムとカリウムの挙動と管理」、「放射性セシウム挙動を予測するパラメータとしての放射性セシウム捕捉ポテンシャル(RIP)」6題の話題提供がありました。セッション2「ICT技術を用いた放射線対策研究の新展開」では、ICT技術を用いた先端研究として「KURAMA-IIを用いた農地放射能汚染度の簡易推定」、「汚染された農業区画効率的修復のための空間的クラスタリング手法の提案」、「原子力緊急事態意思決定支援システム(DSS4NAFA)の農地利用ダイナミクスマッピング」、「中赤外分光法とディープラーニングによる土壌中の交換性カリウム推定」4題の話題提供があり、両セッション併せて10題の研究に関する発表と質疑が行われました。
総合討論では、FAO/IAEA Dercon室長の進行で、今後5年間で重要な放射線対策研究をテーマとして熱心な議論が行われ、以下意見を含め研究・対策の重要性が指摘されました。
- 適正な放射線対策を確立する上で、放射性セシウム汚染地域において作物へのセシウム移行低減対策としてのカリウム施用に対する反応が土壌によって異なることに関する研究の深化が必要
- ロシアにおける対策として、放射性セシウム吸着材の開発や施肥法改良などの研究を継続する必要
- ベラルーシではマメ科作物のストロンチウム汚染対策が重要になっている
このほか、シンポジウム参加者の緊密な連携継続による基礎から応用レベルまでの幅広い研究は極めて重要でありシナジー効果が期待出来ること、研究成果に関する情報共有は原発事故被災地の農業再生や問題解決に有用であるとの認識で一致しました。Dercon室長によるまとめのコメントで総合討論は終了し、FAO/IAEA Heng課長の挨拶をもって本シンポジウムは閉会しました。
開会挨拶(FAO/IAEA・Liang部長)
|
セッション1座長(農研機構東北研・藤村)
|
講演者(農研機構東北研・江口)
|
講演(農研機構農業環境研究部門・山口)
|
講演(FAO/IAEA・Lazar Adjigogov)
|
総合討論(進行 FAO/IAEA・Dercon室長)
|