研究活動報告

水稲乾田直播・子実トウモロコシフォーラム2023を開催しました

情報公開日:2023年3月20日 (月曜日)

開催日時

2023年3月7日 (火曜日) 10時30分~16時10分

開催場所

いわて県民情報交流センター「アイーナ」8階   会議室804

参加者数

155名(内訳:生産者33、JA22、企業37、大学5、市町村1、県(行政)17、県(普及)9、県(研究)23、国5、マスコミ2、その他1)

開催概要

近年、農業従事者の一層の減少・高齢化、小規模生産者の急激な離農の進展等による担い手への農地集積・集約化や、効率的な営農の実現に向けた基盤整備や大区画化が進行しています。また、国際情勢の変化によるエネルギー価格や生産資材価格の高騰等、我が国の農業生産環境は大きな影響を受けています。今後、水田農業を中心とする東北地域が維持・発展していくためには、水稲の省力・低コスト栽培技術や、子実トウモロコシ等大規模な経営体に適合する省力的な輪作作物の導入・拡大が喫緊の課題です。さらに「みどりの食料システム戦略」では、将来を見据えた持続的な農業生産基盤の構築が掲げられています。本フォーラムでは、持続的な水田農業を確立していくための地力維持対策などを確認・共有し、水稲乾田直播栽培や子実トウモロコシ栽培の取組事例の検討を行うとともに、アドバイザリーボード委員等から意見を伺って、生産者、普及・研究機関、企業等の連携による、水稲乾田直播や子実トウモロコシを取り入れた輪作体系の導入等を促進し、生産性の高い持続的な水田農業の確立のための方策について議論しました。

主催者の農研機構東北農業研究センター 川口所長ならびに岩手県農林水産部農業普及技術課 竹澤総括課長の挨拶の後、農研機構東北農業研究センター 関矢緩傾斜畑作研究領域長より「水田輪作による地力維持について」と題した基調講演が行われ、水田輪作における地力維持の重要性と共に、子実用トウモロコシの導入による地力維持効果等について話題提供を行いました。

つづいて、事例報告では、農研機構東北農業研究センター 迫田水田輪作研究領域長の座長のもと、以下の5題の話題提供が行われ、それぞれ活発な質疑が行われました。

1)岩手県花巻市(水稲乾田直播)((有)アグリスト・髙橋社長、岩手県農林水産部・寺田氏)

2)福島県南相馬市(水稲乾田直播)((株)飯崎生産組合・水谷会長、福島県相双農林事務所・木田氏)

3)滋賀県彦根市(水稲乾田直播)((有)フクハラファーム・福原会長、西農研・岡本農業CM)

4)宮城県東松島市(水稲乾田直播・子実トウモロコシ)((有)アグリードなるせ・安部会長、石巻農業改良普及センター・岩間氏)

5)青森県つがる市(子実トウモロコシ)(出来島種子生産組合・半田部長、青森県西北地域県民局・芦田氏)

最後に、意見交換を農研機構東北農業研究センター 関矢緩傾斜畑作研究領域長の座長、助言者として(有)盛川農場・盛川代表、農研機構東北農業研究センター 古畑技術適用研究チーム長、篠遠主任研究員のもとに行い、各話題提供に対する質疑を交えつつ、収量向上のポイント、乾燥調製上の留意点や導入効果、耕畜連携等広範囲な検討を行いました。また、参加者からも様々な質問やコメントが寄せられました。水稲直播では品種について、それぞれの生産者や地域での考え方で選択されていることが報告され、雑草対策では宇都宮大学の赤坂准教授から防除のポイント解説がコメントされました。また、子実トウモロコシでは北海道の参加者から、本州と北海道では播種密度が違うことが反収差につながっているのではないかとのコメントがありました。子実トウモロコシの流通に関しては、生産が伸びていく中で保管が大きな問題となるという認識が示されるなど、様々な課題に関して活発な議論が行われました。

写真1
会場の様子
写真2
意見交換の様子

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