研究活動報告

水稲乾田直播・子実トウモロコシフォーラム2024を開催しました

情報公開日:2024年3月28日 (木曜日)

開催日時

2024年2月29日 (木曜日) 10時30分~16時00分

開催場所

いわて県民情報交流センター「アイーナ」8階   会議室804および803

参加者数

279名(内訳:生産者54、JA26、企業80、大学・教育機関19、行政35、公設研究機関22、国立研究機関32、マスコミ2、個人2、その他7)

開催概要

少子高齢化の進行による労働力不足が国内産業に及ぼす多大な影響が懸念されている中、農業分野においても、従事者の一層の減少・高齢化に加え、紛争や円安等の国際情勢の変化に伴うエネルギー価格や生産資材価格の高騰等によって、我が国の農業生産環境は一層厳しさを増しています。水田農業を中心とする東北地域の農業が、今後も維持・発展していくためには、水稲の省力・低コスト栽培技術や子実トウモロコシ栽培など、大規模な経営体に適合する省力的な輪作作物の導入・拡大が喫緊の課題です。さらに「みどりの食料システム戦略」では、将来を見据えた持続的な農業生産基盤の構築が掲げられています。本フォーラムでは、生産性の高い持続的な水田農業の確立を図るため、農研機構が開発した水稲乾田直播栽培の技術内容を確認・共有するとともに、東北地域の水稲乾田直播及び子実トウモロコシ栽培の取組事例の検討と、普及拡大の取組方策等に関して生産者や農業関係者間の意見交換を行いました。

主催者の農研機構東北研 川口所長につづいて、岩手県農林水産部農業普及技術課 佐藤農業革新支援担当課長の挨拶の後、農研機構東北研 古畑技術適用研究チーム長より「農研機構方式(プラウ耕鎮圧体系)水稲乾田直播栽培の概要・課題・展望について」と題した基調講演を行いました。

事例報告では、農研機構東北研 迫田水田輪作研究領域長の座長のもと、以下の4題の話題提供が行われ、それぞれ活発な質疑が行われました。

1)秋田県北秋田市(水稲乾田直播)(ホクヨウ農産株式会社・藤嶋社長)

2)岩手県北上市(水稲乾田直播)(株式会社西部開発農産・清水生産部長)

3)宮城県名取市(子実トウモロコシ)(農事組合法人U.M.A.S.I.・大友代表理事、宮城県亘理農業改良普及センター・大内氏)

4)宮城県涌谷町(子実トウモロコシ)(株式会社おいかわ・及川代表取締役、涌谷町農林振興課・藤崎氏)

その後、パネルディスカッションを実施しました。今回のパネルディスカッションは、水稲乾直と子実トウモロコシのそれぞれについて、分科会方式で行いました。

水稲乾田直播分科会では、最初に、乾田直播栽培導入の導入理由・効果について議論しました。導入理由としては、農地集積の拡大、労働力不足という大きな2つの課題の中で、少ない人員で大規模面積での経営を実現することが契機となっていました。また、効果については、移植栽培でのハウス・資材や、繊細な育苗管理、代かき、苗運搬という労働が不要でコスト低減につながり、結果として少人数での経営が実現したことなどがあげられました。パネリストから、乾田直播栽培の単収は移植水準を確保できることや、乾直栽培のポイントについても示され、1) 春一番の排水対策、2) 良い播種床(均平で程良い固さ)の作成、3) 4月までの播種、4) 除草剤の正確な散布、5) 適正な播種量、播種深等が重要であることのことでした。

子実トウモロコシ分科会では、圃場排水対策、アワノメイガ防除対策、収穫子実の乾燥調製法と保管法、流通等について議論しました。特に、令和5年5月に飼料用トウモロコシ(子実)に適用拡大された殺虫剤(プレバソンフロアブル5)のドローン散布は、アワノメイガ防除に効果が発揮され、アワノメイガ食害雌穂で生産されるカビ毒(フモニシン)の低減にも効能を示したとして話題になり、これら対策や技術に係る情報を会場参加者と共有するなど、活発な議論が行われました。

写真1
事例発表の様子
写真2
水稲乾田直播分科会の様子
写真3
子実トウモロコシ分科会の様子

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