開催日時
2025年2月21日 (金曜日) 10時30分 ~ 16時10分
開催場所
盛岡市民文化ホール (マリオス) 大ホール
参加登録者数
295名 ( 内訳 : 生産者72名、JA21名、民間企業92名、行政機関31名、公設試16名、大学等6名、マスコミ1名、農研機構36名、その他20名 )
開催概要
我が国の農業は、気候変動による洪水等の自然災害の多発や、温暖化による栽培適地の変化、従事者の高齢化の加速による労働力不足など大きな環境変化に直面しており、新たな「食料・農業・農村基本法」および関連法案においては、農業の生産性向上と持続可能性の両立を図る重要性が掲げられています。これらの状況に対応していくため、生産現場では、水稲における省力・低コスト栽培技術や子実とうもろこし等の地力維持と省力栽培が可能な作物を取り入れた輪作体系の導入・拡大の取り組みが始まっています。
このような動向等を踏まえ、本フォーラムでは、生産性の高い持続的な水田農業の確立を図るため、子実とうもろこしと乾田直播栽培を導入した高収益・低投入型の大規模ブロックローテーションについて技術の開発状況を紹介するとともに、省力・低コスト生産に寄与する水稲乾田直播栽培と子実とうもろこし栽培の取組事例の検討、および普及方策等について生産者や農業関係者間の意見交換を行いました。
フォーラムでは、主催者である農研機構東北農業研究センターの若生研究推進部長ならびに岩手県農林水産部農業普及技術課 中森農業革新支援担当課長の挨拶の後、「子実とうもろこしを導入した高収益・低投入型大規模ブロックローテーションの構築」と題し、冠ICT活用技術グループ長による基調講演を行いました。
続いて事例報告では、長谷川水田輪作研究領域長の座長のもと、水稲乾田直播について2題、子実トウモロコシについて2題、計4題の話題提供と質疑をそれぞれ以下のとおり行いました。
- (1)水稲乾田直播
- 1)宮城県遠田郡美里町 (農事組合法人みらいす青生 代表理事組合長 宍戸 健)
- 2)北海道夕張郡由仁町 (有限会社中村協進農場 代表取締役 中村隆浩)
- (2)子実とうもろこし
- 1)宮城県大崎市 (JA全農耕種総合対策部 つくば営農企画室長 村岡賢一、JA古川営農部 営農企画課長 佐藤貴寿)
- 2)山形県村山郡大石田町 (株式会社今野商店 代表取締役 今野寿洋、山形県農業総合研究センター畜産研究所 研究主幹 秋葉浩一)
大崎市古川地区での子実とうもろこしの取り組み報告に対しては、他地区への展開可能性に関する質疑がなされ、報告者からは、輪作の中にとうもろこしを入れていく形で県内に展開したいとの回答がありました。
パネルディスカッションは、関矢緩傾斜畑作研究領域長を座長として、講演者7名にJA古川の星課長補佐を加えた8名のパネリストで行われました。はじめに講演内容について、圃場の土作り、FOASの管理、北海道の子実とうもろこしの状況、除草等に関する質問を受け、パネリストから回答をいただきました。
水稲乾田直播の今後の見通しについては、高齢化や人手不足から増やさざるを得ないとの認識がパネリスト間に共通しており、日本海側でもできる作業は秋から始めて作業時間を確保するなど、導入にも意欲的であることが示されました。一方、子実とうもろこしについては、とうもろこし単体では収支が厳しいという認識で一致しており、補助金の活用や後作の作物への効果を考える必要があること、再生産できる価格を畜産サイドや消費者に理解してもらうための情報発信が必要との意見が出されました。
最後に、各パネリストに対し抱負を含む今後の取り組み方針を尋ねたところ、「地域を守る」「地域に貢献する」「地域に根ざす」等の言葉が共通して語られ、自分たちの地域への責任感がうかがえるコメントが寄せられました。
当日の様子

