研究活動報告

「国産小麦セミナー パン・中華麺用小麦『夏黄金』の新たな食品への利用拡大に向けて」を開催しました

情報公開日:2026年2月 9日 (月曜日)

開催日時

2026年1月22日 (木曜日) 13時15分 ~ 15時15分

開催場所

オンライン (Zoom) 配信

参加者数

155名 ( 内訳 : 生産者・農業団体4名、民間企業44名、公設試験研究機関24名、行政機関27名、大学等18名、産学連携機関5名、農研機構23名、その他10名 )

※ 参加者の在住地域 : 26都道府県

開催概要

2016年に農研機構東北農業研究センターにおいて育成された寒冷地向けパン・中華麺用小麦品種「夏黄金なつこがね」は、高い食品加工適性を示すため、東北・北陸地域で徐々に栽培面積が拡大し、地域の食材・食文化に根差した多様な食品への加工の取り組みが加速しています。

本セミナーは、各地域における「夏黄金」の生産性や加工適性の理解を深めることで「夏黄金」の用途を拡大することをねらいとし、東北農業研究センターと東北地域農林水産・食品ハイテク研究会との共催により、講演と意見交換の2部構成で開催されました。

Ⅰ. 講演

「夏黄金」の特性紹介
東北農業研究センターより、「夏黄金」の加工適性評価について紹介しました。
質疑応答では、東北・北陸以外の地域での「夏黄金」の栽培ポイントなどが話題となりました。
栽培事例報告
「夏黄金」を奨励品種や産地品種銘柄として栽培している宮城県、福島県、新潟県の各公設試験研究機関より、各地の生産物の品質、収量などについて情報を共有いただきました。
質疑応答では、各県で工夫している栽培方法(栽培地区の選択、播種量、肥料の種類、重粘土での栽培、堆肥利用)や調整方法(乾燥条件)が話題となりました。
商品開発の取り組み
山形県、新潟県、福島県の製粉会社3社と喜多方商工会議所から、「夏黄金」の小麦粉を使って地域の食文化に即した商品開発に取り組んでいる現状を紹介いただきました。
質疑応答では、加工食品の具体的な評価、加工時にブレンドする品種等が話題となりました。

Ⅱ. 意見交換会

ファシリテーターの小巻氏(農林水産省産学連携支援コーディネーター)より、商品開発の取り組みを紹介した4名に対して、「夏黄金」の用途拡大の可能性を尋ねたところ、「各地域で用途拡大の動きがあり、概ね拡大が期待できる」との回答でした。

ただし、生産物の品質(タンパク質含有率、等級等)が十分でないケースもあります。特に生産物のタンパク質含有率が適正範囲であること、収量が高いことが重要であることを踏まえて、小巻ファシリテーターから宮城県に対し高タンパク・高収量を維持しているポイントについて尋ねたところ、涌谷町の例ではJAや普及組織による巡回や研修会開催により、適正なタイミングでの追肥や赤かび病防除、遅れ穂制御を徹底し、高い品質と収量を維持しているとの回答があり、今後新たな生産地においても参考となる情報が得られました。

また、新たな産地形成に関して難しかった点についても議題にのぼり、丸榮製粉(株)からは生産者に配布する種子生産を自ら実施してきたこと、東北農業研究センターからは、種子生産を実施していただけるJA・生産者を一件一件あたる必要があり、新たな産地形成では種子生産における育成研究機関や県・JA・生産者との強い連携が欠かせないことへの言及がありました。

まとめ

セミナー全体で寄せられた質問は全国から16件あり、パン・中華麺用国産小麦「夏黄金」への関心の高さが伺えました。また、活発な質疑応答と意見交換により、「夏黄金」の生産と加工についての理解が進み注目度も高まったと思われます。

東北農業研究センターと東北地域農林水産・食品ハイテク研究会は、今後も「夏黄金」など『東北産の麦』を普及するため、生産・実需・行政・研究分野で意見交換できる取り組みを展開していく予定ですのでご期待ください。

※ 講演資料は、東北地域農林業・食品ハイテク研究会のウェブサイトに掲載されています。

当日の資料から

東北農業研究センターのプレゼンテーション資料
夏黄金の品質特性
(東北農業研究センターのプレゼンテーション)
栽培事例に関する古川農業試験場のプレゼンテーション資料
栽培事例
(宮城県・古川農業試験場のプレゼンテーション)
商品開発に関する小川製粉のプレゼンテーション資料
商品開発の取り組み事例
(山形県・小川製粉のプレゼンテーション)
意見交換会の様子
意見交換会の様子