クリは受粉樹からの距離が近いほど収量性が高く、隣接する列の品種の花粉により結実する果実の割合が極めて高い。「ぽろたん」の植栽列に、「ぽろすけ」、「利平ぐり」、「美玖里」等の品種を受粉樹として隣接させて植栽することで安定した結実が期待できる。
クリは自家不和合性を示すことから、結実のために他品種による受粉が必要であり、栽培上受粉樹の混植が必要である。近年、渋皮がむきやすい品種「ぽろたん」と「ぽろすけ」が育成され、両品種の栽培において渋皮が剥きやすい果実を安定的に収穫するためには、これら2品種のみを混植するか、渋皮が剥きにくい品種が混入しないように、果実の外観が異なる品種や収穫時期が異なる品種を受粉樹として利用することが望ましい(2011年普及成果情報:クリ「ぽろたん」の受粉樹には「美玖里」、「石鎚」、「岸根」、「利平ぐり」が適する)。現状「ぽろたん」を新規に植栽した圃場の受粉樹の混植割合は1/4~1/8、植栽間隔は5~7m程度に設計されていることが多いが、その根拠となる知見は乏しく、最適な受粉樹の植栽方法の指標を示すことが望まれている。本研究は、近年開発されたDNAマーカーを利用したクリ果実(種子)の花粉親の推定技術を用いて、園地における受粉の実際を明らかにし、園地の受粉樹の最適な植栽方法を推定することを目的とした。
本研究は、農林水産省の食料生産地域再生のための先端技術展開事業「被災地の早期復興に資する果樹生産・利用技術の実証研究」により行われた。