重点普及成果

メタン発酵消化液を土中に安定的に施用でき低コストで導入できるスラリーインジェクター

本技術開発の背景

化学肥料使用量低減や地域資源循環の観点から、消化液や家畜ふん尿スラリー等の液肥について、これまで利用が限定的であった畑作での利用を進める必要性が高まっている。

この状況に対応するためには、液肥施用後のアンモニア揮散を抑制することにより肥料効果を最大化して施肥量の多い畑作に対応しつつ、低コストで導入できるスラリーインジェクターが必要である。

技術概要

  • 農家規模に対応した2種類(大型機と小型機)のインジェクターを開発した。
  • 大型機は、4~20t容量のスラリータンカーに後付けするタイプのインジェクターである。空洞を形成する刃の種類を変え、土中に大きさや形状の異なる空間を形成することにより、液肥を施用量4~8t/10aの範囲で土壌中に施用することができる(図1)。
  • 小型機は、既存の農地排水改良用全層心土破砕機をベースとしたインジェクターである。機械上部に約200~300L容量のタンクを2基積載し、機械下部に1~3連で配置したV字の心土破砕刃で作成した溝内にタンク内の液肥を注入できる構造を有する(図2)。
  • 大型機は畜産農家が既に保有しているスラリータンカーに設置すること、小型機は既存の作業機をベースにすることにより、低コスト化を実現できた。

図1 大型機

図2 小型機

技術に関する問い合わせ先

農研機構 農村工学部門 研究推進部 研究推進室
Tel:(029)-838-7677

参考情報

普及成果情報

プレスリリース

論文

  • 中村ほか(2025):メタン発酵消化液の肥料としての特徴と利用システム、農研機構研究報告 第20号:11-20