「べにふうき」茶葉中に含まれる抗アレルギー物質ECG3"Me

要約

エピカテキン-3-O(3-O-メチル)ガレート(ECG3"Me)は、エピガロカテキン-3-O-(3-O-メチル)ガレート(EGCG3"Me)より強くマスト細胞からのヒスタミン遊離を抑制する。ECG3"Meは「べにふうき」に多く含まれ、EGCG3"Me含有量と相関する。

  • キーワード:ECG3"Me、ヒスタミン遊離抑制、「べにふうき」緑茶
  • 担当:食品機能性・生体防御利用技術
  • 代表連絡先:電話 029-838-8011
  • 研究所名: 食品総合研究所・食品機能研究領域
  • 分類:研究成果情報

背景・ねらい

「べにふうき」には、抗アレルギー物質であるEGCG3"Meが多く含まれているが、EGCG3"Meだけでは「べにふうき」の示すヒスタミン遊離抑制作用を説明できない。そこで、「べにふうき」茶葉中の新たなヒスタミン遊離抑制物質を探索し、その物質含有量を茶品種間で比較する。

成果の内容・特徴

  • 「べにふうき」茶葉熱水抽出液中に含まれているカテキン類のマスト細胞からのヒスタミン遊離抑制活性は、ECG3"Me>GCG3"Me(EGCG3"Meの熱異性体)、EGCG3"Me>GCG(EGCGの熱異性体)、CG、EGCG>ECG>EGC>GCの順に強く(図1)、ECG3"Meは、今までヒスタミン遊離抑制物質として知られていたEGCG3"Meより強い抑制活性を示す(P<0.05)。
  • 「べにふうき」茶葉中のECG3"MeとEGCG3"Me含有量は、正の相関関係を示す(r=0.803)(図2)。
  • ECG3"Meは、測定した47品種中「べにふうき」に最も多く含有されており、三番茶の「べにふうき」には1.05%含有されている(表1)。EGCG3"Meを含まない品種は多いが、ECG3"Meはほとんどの品種に少量ながらも含まれている。

成果の活用面・留意点

具体的データ

 図1~2、表1

その他

    • 中課題名:生体防御作用に関する健康機能性解明と有効利用技術の開発
    • 中課題番号:310c0
    • 予算区分:交付金
    • 研究期間:2012年度
    • 研究担当者:山本(前田)万里、立花宏文(九州大学)、物部真奈美(野茶研)
    • 発表論文等:
      1)山本(前田)ら「抗アレルギー剤及びこれを含有する飲食品、外用剤、化粧料」特開2007-186462
      2)Maeda-Yamamoto M. et al. (2012) J. Agric Food Chem, 60(9):2165-2170