越冬ハクサイの頭部結束作業は、冬期の霜害や凍害から結球部を守るため、人手で複数枚の外葉を持ち上げて結球部を包み、わらやポリプロピレン製ひも(PPひも)などで頭頂部をまとめて結束する作業で、長時間狭い所で腰や膝を曲げた辛い姿勢で作業を行うため、軽労化が求められています。 このような状況を踏まえ、農研機構の農業機械技術クラスター事業において、令和3年5月にメーカー、公設試と共同で、歩行型のハクサイ頭部結束機を開発しました※。開発機は1畝1条栽培のハクサイを対象に、1本のPPひもで頭頂部を連続して結束する機械で、小型エンジン発電機で稼働します。令和3年12月にモニター販売(販売元:東洋精機(株))を開始しましたが、生産現場等からは低コスト化や燃油を使わない発電手段への転換による環境負荷の低減が求められていました。図1 ポータブル電源(左)と 着脱式可搬バッテリー(右)図2 作業試験の様子 そこで、農研機構は、令和5年6月に東海漬物(株)(愛知県豊橋市)から研究寄附を受け、研究課題の一つとして「越冬ハクサイ頭部結束機の電動化に関する研究」に取り組んでいます。本課題では、異分野の機械も含めたバッテリーシェアリング社会の実現を目指し、二輪業界で仕様が共通化されている市販の着脱式可搬バッテリー(Honda Mobile Power Pack e:)を内蔵したポータブル電源(Honda Power Pod e:、図1)でハクサイ頭部結束機を稼働させる実証試験(図2)を実施しています。 この度、3月8日(金)に開催される農業機械技術クラスター総会(https://www.naro.go.jp/event/list/2024/01/161274.html)において、他の開発機(自動運転スピードスプレーヤ、高機動畦畔草刈機、遠隔操作式高能率法面草刈機等)とともに実機展示を行います。本イベントは、クラスター事業における今年度の活動結果及び次年度の活動方針の報告を目的として開催しますので、ご興味のある方は是非ご参加ください。 農研機構は、今後も関係機関等と連携して、農業機械の電動化によりGX2)を推進してまいります。