農業機械研究部門

緊プロ開発機のご紹介

果樹用農薬飛散制御型防除機

(2010年発表)

環境に優しい果樹用スピードスプレヤー

  • 農薬のドリフトを抑えて的確な防除が可能
  • 散布量を容易に設定でき、均一な散布を実現

写真
果樹用農薬飛散制御型防除機

1.利用のメリット

簡単なスイッチ操作で防除効果を落とさず、農薬のドリフトを低減することが可能である。運転席からのパネル操作で容易に散布量を設定でき、散布ムラのない均一散布ができる。

2.開発機の概要

  • SS用ドリフト低減ノズルが装着され、電動シリンダにより、リンク機構を動作させ、片側4枚、左右一対の導風板を回動して農薬の散布方向を調節できるスピードスプレヤーである。

  • 園外へのドリフトを大幅に抑えることができる。
  • 作業速度に応じて吐出量が自動調整できる車速連動装置が組み込まれ、散布ムラのない均一散布ができる。
  • 慣行作業と同じ方法(農薬の種類、希釈倍率、散布量)で使用でき、慣行のスピードスプレーヤスプレヤー(慣行SS)と同等の防除効果が期待できる。

3.活用上の留意点

  • 樹高4m以下、樹列間4.5~8mの立木果樹に適用可能である。
  • 強風下で散布しない、過度の散布量で散布しない等、ドリフトに関する基本的な注意事項を守る必要がある。

4.共同研究実施会社

株式会社 丸山製作所、ヤマホ工業 株式会社

5.主要諸元・構造

専用のドリフト低減ノズルが装着され、風向を制御できるスピードスプレヤー。片側4枚で左右一対の導風板を電動シリンダにより、リンク機構を動作させて回動できる送風部を有している。作業速度が変化しても常に設定散布量を維持できるように、吐出量を自動制御する速度連動装置が組み込まれている。

表 主要諸元、図 開発機の構造

6.作業性能

  • 慣行機による園外のコマツナへの農薬残留量は、慣行スピードスプレヤ―(以下、慣行SS)では園端から5m地点で0.35ppm、20m地点で0.08ppmであったが、開発機では全ての地点で検出限界値の0.01ppm未満となり、ドリフト低減効果が高かった。
  • 開発機の付着性能は樹冠内0.5~3.0mの高さの感水紙による平均付着度指数が8.0で、慣行SSでは7.5であり、慣行SSと同程度の付着性能であった
  • 通年の防除効果は慣行SSと同等で、防除効果試験後の出荷可能果実の収量は同程度であった。

(試験場所:岩手県農業研究センター、福島県農業総合センター)