1.利用のメリット
簡単なスイッチ操作で防除効果を落とさず、農薬飛散(ドリフト)を低減することが可能である。送風機回転数を低減して近接散布できる構造で、騒音を低減でき、省エネ効果もある。
2.開発機の概要
- 運転席のスイッチで電動シリンダを伸縮してノズル管角度を調節できるノズル管折りたたみ装置を備え、棚高さや樹形に合わせて、散布高さ、散布角度を調節して、棚面から約20~40cmで近接散布する。
- 従来のように大風量を必要とせず、送風機の回転速度を慣行SSより低く設定することができ、園外へのドリフトを大幅に抑えることができる。
- 85dB以上の騒音が発生しない。
- 慣行作業と同じ方法(農薬の種類、希釈倍率、散布量)で使用でき、慣行のスピードスプレヤー(慣行SS)と同等の防除効果が期待できる。
3.活用上の留意点
- 棚面最低位置1.3m以上、樹高(ネット高さ)4m以下、樹列間3.6~8mの棚栽培果樹に近接散布方法で適用可能である。
- 強風下で散布しない、過度の散布量で散布しない等、ドリフトに関する基本的な注意事項を守る必要がある。
4.共同研究実施会社
株式会社丸山製作所、ヤマホ工業株式会社
5.主要諸元・構造
棚栽培果樹用スピードスプレヤーは、送風機吹出口の上部に運転席から折りたたみ操作できるノズル管を備える。小風量でノズル管を棚面に近づける近接散布により、ドリフトを低減する。


6.作業性能
- 開発機はナシ園の園外10mでのドリフトが0.02ppm、園外15m以上でのドリフトは検出限界値0.01ppm未満で、ドリフト低減効果が高く、慣行SSと同等の品質・生産量を確保できた。また、ブドウ園でも防除効果があり、慣行SSと同等の品質・生産量を確保できた。
- 慣行SSでは周囲面積50~210m2で散布時騒音85dB以上であるが、開発機の散布時騒音は85dB未満で、騒音低減効果が高かった。
(試験場所:茨城県農業総合センター、埼玉県農林総合研究センター)