イチゴの育苗に紙ポットを用いると、紙ポット表面から水分が蒸発して、地温が摂氏5度程度下がるため、花芽分化が約7日早まり、収穫開始を2週間程度早めることができ、より高単価の時期に出荷できます。
紙ポットの利点
- 収穫開始が早まることによる収益性の向上(高単価)。
- 花芽分化促進のためのコストは低温暗黒処理や夜冷短日処理よりもはるかに安い。
- 鉢ごと定植するため、省力的。
慣行の黒ポリポット(左)と紙ポット(右)
紙ポットの注意点
- 乾きやすいため、かん水回数を晴天日は1回多くする。
- 底面給水、雨除けにすると炭そ病はほとんど出ない。
- 紙の分解時に窒素が消費される他、多かん水に伴って肥料の溶脱が早いため、育苗当初の施肥量は1.3~1.5倍にする。
- 定植時に紙ポットの底部の崩壊が不十分な場合は底を破って植える。
紙ポットは黒ポリポットよりも地温が低い
紙ポットでは育苗当初に紙の分解に伴って窒素肥料が不足しやすく、その結果、小苗となりやすいため、育苗当初の肥料は1.3~1.5倍施用する。
頭上かん水で被害が出やすい炭そ病の予防のためには底面給水が良い!
ベンチ上にフイルムを敷き、その上に吸水マットを敷いた底面給水
雨よけして、底面給水にすると葉に水がかからなくなるため、炭そ病はほとんど発生しなくなる。
目づまりによる過湿を避けるため、遮根シートは用いない。
紙ポットの花芽分化は黒ポリポットに比べて1週間早い
紙ポットの収穫開始は14日程度早まる
ポットにカビや藻が生えるが、生育への影響は全くなく、病気とも無関係である。
底面給水
頭上かん水
定植時期近くの紙ポット
下の方はほとんど崩壊していて、そのまま植えられる。
崩壊度が不十分な場合は底面を破って定植する。