九州沖縄農業研究センター

所長室から

韓国紀行(日中韓国際サツマイモワークショップ)

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歓迎パーティーの一コマ

2004年9月7日から9月9日にかけて、韓国木浦市にあるRDA(韓国農務省農村振興局)傘下の木浦農業試験場において日中韓国際サツマイモワークショップが開催された。木浦市は100万都市の光州市から南西に50kmほど下った人口20万の新興地方都市である。木浦農業試験場はもともと綿の研究のために創設された韓国でも由緒ある研究施設である。今年創立100年を迎えるにあたり、記念行事の一つとしてサツマイモワークショップが開催された。サツマイモは世界第7位の栽培作物であるが、アジアでは第3位の栽培面積を誇る。また、途上国ではキャッサバと並びもっとも重要な食用源となっている。日中韓のサツマイモ栽培面積は世界の70%を占め、さらに生産量では80%を超える。研究面でも日本は世界のトップを走っており、中国も100名以上の研究者を有し、日本を追っている。韓国の研究者は木浦農業試験場の4名と少ないが、アン博士を始め、熱心な研究者が多く、日本との交流も盛んである。

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称号の授与式

私はこのシンポジウムでRDAから「海外名誉研究者」の称号を頂いた。世界を見渡すとサツマイモの研究者は皆私より若く、先輩研究者として「しっかりせよ」というメッセージであると受け止めている。研究者は研究そのものがおもしろいと思うことは勿論大切であるが、研究により社会に役立ちたいという強い志も不可欠である。この志がなければ、生涯研究者にはなり得ないし、リーダーシップなどとても発揮できない。シンポジュウムでは称号の授与式の後、開催メッセージと記念講演を依頼された。日本でのサツマイモ研究の現状、特に栽培と利用について概説した。参加者から励みになった、元気が出たという有り難い評価を頂いた。

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頂いた称号と記念講演

中国から20数名、日本から私を含め4名、韓国から10数名の研究者が参加し、すべて英語による口頭発表が行われた。ワークッショップの打ち合わせ会議で、次回の開催場所(日本国熊本)、開催日時(2006年9月中旬頃)、代表メンバーの決定(日本2名、中国3名、韓国2名)が決定された。ワークショップツアーとして、木浦農業試験場のサツマイモ研究圃場の視察、韓国キューイフルーツマーケティング(株)におけるサツマイモ選果場の見学、農家サツマイモ栽培圃場の見学、アウトレッド市場調査などを行った。
韓国のサツマイモ栽培面積は約1万5千haと日本の半分以下で、用途は青果用が大部分を占める。中国と同様50g程度の子いも人気が高いという。値段も日本と変わらない。赤土粘土質土壌に適する日本品種「ベニオトメ」の栽培面積が最近増加している。市場では葉柄の販売も多く、キムチの原料として大量に使われていることは新鮮な驚きであった。日中韓ともにサツマイモの健康食品としての意識が高まっており、消費の増加が期待される。

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ワークショップのメンバー