九州沖縄農業研究センター

所長室から

地方からの情報発信

所長:山川 理

osamu7月末に「微生物の利用」について、日韓国際シンポジュウムを九州沖縄農業研究所センター(熊本)で開催した。日本各地(北海道から沖縄まで)からも多くの研究者が参加した。海外の先進国では国際的に有名な研究所が地方にあり、国際会議も地方で開催されることが多い。日本では多くの研究機関が都市圏をはじめとする大都市に集まり、国際会議も大都市で開かれる。農業の現場は地方にある。だから地方の農業研究機関ががんばって国際会議を開くことは大切なことだと思う。当センターはサツマイモの研究では世界の最先端を走っていると自負している。私が都城の部長であった頃、サツマイモの国際ワークショップを2回開催した。国際会議も開けないようでは世界トップの研究を行っているとは言えないのではないか。これからも「地方から世界に向けて」研究情報の発信をしたいと思っているが、まずは研究の重点化と、重点分野での世界的な研究者の育成や成果の公表が重要であると考えている。

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原著論文を書きましょう

人事・目標担当補佐官:門馬信二

mon各研究部から毎年どの程度原著論文が出されているか調べてみました。対象とした論文は当機構での分類に従って学術団体A論文と研究所報告等としました。過去3年間について研究職員一人当たりの数でみますと、最低はある研究部の0.07、最高はある研究部の0.54で、所全体では約0.3でした。年次によって増減するのは研究である以上やむを得ませんが、0.5程度を期待していましたので、これより少なく残念なことでした。近頃は、研究者は研究成果を取りまとめて原著論文を書くことは当然のことであり、研究成果が如何に現場で役に立っているかが重要であると言われるようになってきていますが、先ずは研究成果を取りまとめ、原著論文にして残すように心がけてもらいたいものです。

新人研究職員への期待

体制・評価担当補佐官:折登一隆

orito2名の新人研究職員が農家研修を含む4カ月間の新人研修を終了して、8月から南方島嶼部の研究拠点である種子島さとうきび育種研究室と4月から沖縄県駐在となった南西諸島農業研究チームに配置替えとなりました。
最初から配属研究室を決めて新規研究職員を採用する方式は今年で2年目となり、彼らもそれなりの準備をしていたようで、新しい知識を持ち、体力のある若い研究者への期待は大変大きいものがあります。
さて、所長が打ち出された目指すべき3Cの一つにクリエーションがあります。これは研究者としては最も基本的でありながら、形式的な尺度では測れないこともあり、研究所としては取り組みにくい課題です。本年の新人研究職員は、たまたま2名とも隔地研究室への配置となりました。もし配置されたのが隔地研究室だからという理由でクリエイティブな研究活動が制約されるのであれば、研究所は、隔地研究室を解消すべきでしょう。しかし、九州沖縄農業研究センターで唯一の隔地研究室であった、さとうきび育種研究室で多くのクリエイティブな研究実績を挙げてきているのは周知の事実です。他方、大きな研究部において、そうではないとの批判に甘んじなければならない事態があるとすれば大きな問題です。
希望に燃えている若手研究員への研究所を挙げた支援は当然ですが、隔地研究室に配置される本年採用の新人に対して、クリエイティブな研究活動ができるようより一層惜しみない支援を続けたいと思っています。