九州沖縄農業研究センター

所長室から

一堂に集う

所長 山川 理

一同に集うの所長今年の全所検討会は大きく様変わりしたと思っています。年に一度研究所の部長、研究室長、チーム長が集う会議、全所試験検討会。大会議室を埋めるほどの人数です。2日間(実質的には1日半)の会議の大部分をこれまでは研究成果情報の検討に当ててきました。当日にデータを見せられ、わずか5分足らずで成果の価値を判断する。こんなことは専門分野の異なる集団の中でできるはずはないと思われます。わかりやすい成果には厳しい注文が、逆にわかりにくい成果には何もなしという状況がありました。また本当に議論しなければいけない研究戦略の問題については残り時間も少なく、通り一遍の議論となっていました。今回は事前審査委員会を作り成果情報を綿密に審査しました。そこでパスした成果情報をホームページにのせ、検討会出席者全員に公開しました。お陰で検討会の主役は成果情報の検討から、研究戦略の検討へと変わりました。独立行政法人になってから、私達は中期研究目標を立て、研究管理を行っています。毎年研究の推進状況をチェックし、問題点を把握し、対応策を検討し解決策を探ります。常に明日を目指した運営を行う必要があります。研究の中核となる研究室長やチーム長が集う会議をこの運営の根底に据えるために、今回の試みは有意義であったと自画自賛しています。すべてのことを毎年見直し、新しく創造していく。「伝統は守るものではなく、造るものである」という理念に立って今後も研究所運営を進めていきたいと思っています。

試験研究検討会の様子

九州は一つ

体制・評価担当補佐官 折登一隆

農産物の「九州ブランド」確立には優秀な広域適応性品種の開発や安定生産技術の確立などブランド戦略の核となる素材の開発が重要です。これまで県独自で品種育成を行って地域ブランド化を図ってきたが、継続出荷ができず、広報宣伝費も乏しいなどの理由から九州沖縄の農産物が必ずしも期待通りの高い評価を受けられずにきました。
このような状況を打開するため「九州は一つ」の理念のもとJA福岡中央会の花元克巳氏が会長を務める九州沖縄農業経済推進機構(九農構)が平成16年12月に設立されました。
九農構では、(1)九州沖縄農産物の統一的な販売戦略、(2)高付加価値化(機能性食品)ブランド戦略、(3) 九州沖縄農産物の東アジア等への輸出取り組み等が検討されていて、これらの行動計画を検討するため第一回九州農業未来研究セミナーが平成17年2月4日福岡県で開催され、山川所長も出席しました。
そこでは次のような発言がありました。
山川所長からは、機能性成分の高い農産物に興味を持ち来所される企業も多く、また工業分野から農工連携を求められており、農業は決して衰退産業ではない。今こそ、リスクを恐れずに積極的に取り組む農業組織が求められている。また、各県の農業団体からは、これまでの地産地消、県産品愛用などの取り組みと「九州ブランド」との関係の整理が必要である。さらに、伊丹九州農政局からは、農業団体のこのような活動は大変有り難いので局内にプロジェクトチームを作って支援したい。
九州沖縄農業研究センターは、戦略作物については「九州ブランド」にふさわしい品種育成、機能性研究と商品化支援、トレーサビィリティ等の十分な研究実績があり、これを活用して九州沖縄地域の農業振興を研究面から支援できると考えております。
地方制度調査会では明治時代から約120年続いた道州制の議論がされる時代ですが、九農構のような農業団体の「九州は一つ」の活動を目の当たりにして、改めて、これまでの研究戦略の検証と研究機関として九州農業と伴に歩むべき方向を探る貴重な示唆となりました。九農構に敬意を表するととも感謝しております。

所長の話打合せの様子

研究所報告に投稿を

人事・目標担当補佐官 門馬信二

最近の九州沖縄農業研究センター報告(所報告)に掲載されている論文は、新品種育成論文、あるいは学位論文が主となっていることから、昨年10月の全所部長会議において所報告の要件を少し緩和し、他分野の研究成果も積極的に投稿するようにお願いしたところです。しかし、現時点ではその効果はみられず、今年度投稿された論文の中で投稿の遅れた1編は発行の見通しが立たず、寂しそうに他の論文が投稿されるのを待っております。例年新年度に原稿を募集しますので来年度中には発行できると思いますが、投稿された論文の速やかな公表のためにも積極的な投稿を再度お願いします。また、平成16年度の成果情報についての検討等が済んだところですが、成果情報は一定の研究成果を纏めたもののはずですので、成果情報にしたものは所報告や学会誌に投稿するようにお願いします。