九州沖縄農業研究センター

所長室から

新年のご挨拶(2013年1月)

九州沖縄農業研究センター所長 寺田 文典

寺田 文典 新年、あけましておめでとうございます。

 皆様にはお健やかに新春をお迎えのこととお慶び申し上げます。

 昨年を振り返りますと、7月には「これまでに経験したことのないような大雨」が降り、九州各地で洪水などの災害が引き起こされました。さらに夏の猛暑が加わり九州地域の稲作は作況指数97と無念な結果となりました。夏から秋にかけて沖縄を繰り返し台風が襲い、サトウキビやキクなどに大きな被害が生じました。農業は自然との調和であるとよくいわれますが、災害の多い九州沖縄の地では、やはり克服すべき対象であるように思えてきます。

 一方で、うれしい話も多くありました。10月に開催された和牛のオリンピック、第10回全国和牛能力共進会長崎大会では九州勢が大活躍、特に宮崎県は5部門で優勝を獲得し、口蹄疫からの復活を全国に印象づけました。九州沖縄農業研究センターで開発された高温耐性に優れる水稲品種「にこまる」は、猛暑をものともせずに良好な成績を収め、先進普及地の壱岐では作況指数106と多收の特性を遺憾なく発揮し、各地の食味コンテストでも優勝をさらっています。九州のお米のイメージを一新することにもつながる話題かと思います。また、12月に博多で開催しました国際会議「イネウンカ類の殺虫剤抵抗性と媒介ウイルス病に関する最新研究」には多くの方々にご参加いただき、 私たちの研究活動を国際的にも高く評価していただきました。明るい話、うれしい話には元気づけられます。

 昨年に引き続き今年もわが国の農業を巡る情勢には厳しいものがあります。しかし、農業・農村の振興は、その経済的な意義に加えて、地域社会を守り、ひいては国土を守ることにもつながる重要な課題であることから、私たちは九州沖縄地域の農業が抱える多くの困難を打ち破っていかなければなりません。そのためにも九州沖縄農業研究センターは、今年も、九州沖縄農業の発展に向けて、地域農業研究の中核として、研究、技術開発、実証・普及という役割をしっかり果たしていきたいと考えています。 特に、産学官連携の強化にむけて、私たちが持っている情報を、必要とされる方々に、迅速にお届けできる仕組みを作ってまいります。また、研究開発につきましても、実需の皆様、異分野の皆様と積極的に共同し、研究・普及の加速化、成果の最大化をめざしてまいります。

 今年も、皆様のご指導、ご支援をよろしくお願いいたします。