九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

アンビルフロアブルと異系統殺菌剤の混用散布によるナシ黒星病の防除

要約

DMI系剤低感受性ナシ黒星病菌に対して、アンビルフロアブル(DMI系剤)にベルクート水和剤あるいはユニックス顆粒水和剤を混用すると、防除効果が高い。 

  • キーワード: ナシ黒星病菌、DMI系剤低感受性菌、混用散布
  • 担当: 福岡農総試・病害虫部・病害虫チーム
  • 代表連絡先: 電話092-924-2938
  • 区分: 九州沖縄農業・病害虫
  • 分類: 技術・参考  

背景・ねらい

近年、ナシ黒星病が多発し、DMI系剤(ステロール脱メチル化阻害剤)のフェナリモル(ルビゲン)で効果低下が確認されている。フェナリモル低感受性ナシ黒星病菌(以下、低感受性菌)に対してはスコア顆粒水和剤以外のDMI系剤の効果も十分ではない。しかし、このようなDMI系剤であっても他に代替できる効果の高い他系統の剤が無いため、ナシ黒星病の防除体系に必要である。そこで、現時点で比較的効果の高いDMI系剤と系統が異なる剤を混用し、低感受性菌に対して効果の高い薬剤の組合せを明らかにする。 

成果の内容・特徴

  • 低感受性菌に対して、DMI系剤のスコア顆粒水和剤の効果は高く、アンビルフロアブル、インダーフロアブルの効果はやや劣る。ルビゲン水和剤の効果は低い(表1)。
  • アンビルフロアブルにベルクート水和剤あるいはユニックス顆粒水和剤を混用すると低感受性菌に対して、スコア顆粒水和剤単剤並みに効果が高い(表1、表2)。
  • アンビルフロアブルにベルクート水和剤を混用した防除体系は現地慣行防除体系より効果が高い(表3)。

成果の活用面・留意点

  • ナシ黒星病防除体系の構築に活用できる。
  • DMI系剤の多用は耐性菌発達リスクを高めるため、リスク管理には保護殺菌剤を混用した上でDMI系剤の年間使用回数を必要最低限にとどめる。
  • アンビルフロアブルにキノンドーフロアブルを混用するとナシ黒星病に対する防除効果が低下する。
  • 施設栽培において開花中にユニックス顆粒水和剤を混用散布すると花弁に薬害が生じる場合がある。

具体的データ

表1

表2

表3

その他

  • 研究課題名: 常発地におけるナシ黒星病の効率的防除方法の確立
  • 予算区分: 県単
  • 研究期間: 2005~2007年度
  • 研究担当者: 菊原賢次