九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

アルファルファタコゾウムシの導入天敵ヨーロッパトビチビアメバチの増殖にはカラスノエンドウが有効である

要約

侵入害虫アルファルファタコゾウムシの導入天敵であるヨーロッパトビチビアメバチは、同じくタコゾウムシの好適な野生寄主植物であるカラスノエンドウ群落内での増殖によってレンゲでの寄生率が高まる。 

  • キーワード: ヨーロッパトビチビアメバチ、アルファルファタコゾウムシ、寄生、カラスノエンドウ
  • 担当: 鹿児島農開セ・大隅支場・環境研究室
  • 代表連絡先: 電話0994-62-2001
  • 区分: 九州沖縄農業・病害虫
  • 分類: 研究・参考  

背景・ねらい

アルファルファタコゾウムシ(以下タコゾウムシとする)は、マメ科牧草の侵入害虫で、鹿児島県では昭和63年に侵入が確認され、以後蜜源レンゲに被害が拡大したことから、平成13年にアメリカからヨーロッパトビチビアメバチ(以下アメバチとする)を導入した。
しかし、レンゲは水田裏作の作物であるため、アメバチは水田内では水稲栽培により増殖が断ち切られる。一方で、アメバチはマメ科雑草のカラスノエンドウ等で定着が確認されている。
そこで、アメバチを放飼した地域の水田畦畔に存在するカラスノエンドウ群落内における寄生率の動向を調査し、カラスノエンドウの防除への利用の可能性を明らかにする。 

成果の内容・特徴

  • 水田畦畔に存在する野生寄主植物カラスノエンドウ群落内において、アメバチの寄生率は年々有意に高まっており、本種の野外での増殖には有効である(図1)。
  • カラスノエンドウ群落内でのアメバチの寄生率の上昇に伴い、レンゲほ場内においても低水準ながら、寄生率の有意な上昇が認められる(図2)。

成果の活用面・留意点

  • レンゲほ場(水田)周辺に存在するカラスノエンドウはアメバチの増殖に有効であることから、レンゲ栽培地域全体のタコゾウムシ個体群の抑圧に寄与でき、タコゾウムシの生物的防除技術として活用できる。
  • アメバチの生息地では、水田周辺の草刈りを4月中旬以降に行うことにより本種の保護が図れる。

具体的データ

図1

図2

 

その他

  • 研究課題名: アルファルファタコゾウムシの蔓延防止技術の開発
  • 予算区分: 指定試験
  • 研究期間: 2006~2010年度
  • 研究担当者: 嶽崎研、林川修二